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PRP療法の種類と期待できる効果は?治療のメリットとデメリットも解説

PRP療法は日本語で多血小板血漿と呼ばれる治療法で、変形性膝関節症を含むさまざまな疾患の再生医療として注目を集めています。

本来人間に備わる回復力を増大させて治療を進める再生医療であり、患者本人から採取した血液を使用して自然な治癒反応を促進します。

PRP療法は保険適用外であるものの重篤な副作用を心配する必要ない、メスを使用した手術が必要ないなどのメリットがあり、多くの方の問題や悩みを改善可能です。

今回の記事では、PRP療法についての基本的な知識とともに、導入メリットとデメリットをまとめました。PRP療法に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

PRP療法とは

PRP療法は患者自身の血液を採取し、血小板濃度を通常の約3〜7倍まで濃縮したうえで患部注入する治療方法です。高濃度の血小板は関節や皮膚など傷ついた組織を治療可能で、患者自身の治癒力を活用する再生医療で治療を進めます。

再生医療は形成外科、美容外科、整形外科、歯周外科治療にも導入されている最新の治療法ですが、現段階では研究段階の部分もあります。

PRP療法を活用すれば、これまで治療が困難だと言われていた不調も自身の再生力を活用して改善できるでしょう。

効果の持続期間

PRP療法の効果は約半年~1回の注射で年程度持続したという患者様もいます。ヒアルロン酸や薬剤などの人工物を注入する治療と異なり、長期間での効果が期待できます。

ただしPRP療法は即効性のある治療ではなく、治療の効果が表れるまでに一定の期間が必要です。

施術前後の注意点

PRP療法実施後の患部は、感染症予防のために当日入浴やシャワーができません。また、施術後14日以内はスポーツなどを避けて安静に過ごす必要があります。

治療後は患部に腫れや痛みを感じる方もいますが、時間の経過とともに不快感は軽減されます。経過観察の診察には必ず行くようにしてください。

PRPとPRP-FD・PRP-PROの違い

PRP療法と似た治療にPRP-FD療法やPRP-PRO療法があります。それぞれの違いは次のとおりです。

PRP療法の種類内容
PRP療法患者から採取した血液を遠心分離してPRPを抽出し、患部に注入する。
PRP-FD療法・PRPをフリーズドライ加工して濃縮
・PRPよりもさらに成長因子の濃度が高いPRP-FDを生成する。
PRP-PRO療法・20倍濃縮した血液から濃度の高いPRPを調整。
・6か月程度の長期保存が可能で、PRPよりも大幅な痛み改善が期待できる。
※参照元:シン・整形外科(旧東京ひざクリニック)

とくに長期保存が可能なPRP-PRO療法は、生活スタイルや受診時の状態にあわせて治療がおこなえるメリットをもちます。

組織修復を促すサイトカインが豊富に含まれているのも注目すべき点です。

PRP療法を選択する際は、上記の違いをぜひ参考にしてみてください。

PRP療法が有効な症状

PRP療法はさまざまな分野に取り入れられ、多くの疾患を治療可能です。PRP療法が有効な症状のなかでも、代表的な疾患を紹介しましょう。

膝の痛み

膝の痛みの原因にはさまざまなものがありますが、中高年で現れる膝の痛みの原因の多くは変形性膝関節症です。

変形性膝関節症になると、膝で骨と骨のクッションの役割を果たしている軟骨が加齢や筋肉量の低下の影響ですり減り、強い痛みを感じてしまいます。

結果的に、骨が変形する、関節に炎症が起こり水が溜まるなどの症状が現れ、末期になると歩くことはもちろんしゃがむ、座る行為も困難になるでしょう。

PRP療法を活用すればダメージを負った組織の修復が促進され、膝の痛みを改善可能です。とくに現段階で膝の痛みの治療に取り組んでいるものの、次のような状態の方はPRP治療を検討するべきでしょう。

  • 痛み止めが効きにくい
  • ヒアルロン酸注射の効果が薄い
  • 痛みが改善しない
  • 手術をしたくない

変形性膝関節症の治療方法はPRP療法の他に、外用薬や内服薬の使用とヒアルロン酸注射、運動器リハビリテーションなどがあります。重度の場合は関節鏡視下手術、骨切り術、人工関節置換術が勧められますが、長い入院とリハビリが必要になります。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは背骨の骨と骨の間に存在する椎間板が飛び出し、周囲にある神経を圧迫する病気のことです。

加齢や筋力低下の影響または長時間のデスクワークが原因で発生し、重い物を持つ時、起き上がり、立ち上がり時に腰に強い痛みを感じます。重度になると痛みのみでなく痺れが起こり、足に力が入らず転びやすくなる運動障害を起こります。

椎間板内、椎間板節内にPRPを投与すれば、椎間板周辺の炎症が治り痛みを軽くできます。すでに運動障害が起こる患者には、飛び出したヘルニアを摘出する手術が勧められるでしょう。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症は中高年に多い病気で、加齢や筋力低下の影響で椎間板や腰椎が変形し脊柱管を圧迫します。

脊柱管には脊髄や馬尾神経が通うため、腰部脊柱管狭窄症になると足の痺れ、痛みを感じるのみでなく、下半身に力が入りにくくなる、便秘、頻尿、尿もれなどの排便排尿障害が起こともあるでしょう。

保存療法で改善しない場合には、骨や椎間板を切除して脊柱管を広げる徐圧術で神経の圧迫を取り除きます。PRPの注入で腰部神経や椎間板軟骨の再生が促されれば、患部周辺の炎症が抑えられてつらい症状を緩和可能です。

頚椎神経根症

頚椎神経根症になると、頸椎が変形して神経根が圧迫され、手足に痺れや痛みを感じるようになります。左右どちらかの腕や手に違和感を感じる症例が多く、刺激に対して鈍感になることもあります。

自然治癒可能な疾患ですが、症状が強い場合は消炎鎮痛薬が処方されて痛みを和らげながら改善を待ちます。頚椎神経根症にPRP療法を活用すれば、より早く効果的に症状を改善可能です。

スポーツ外傷

スポーツの活動中に急激な力が加わり発生する怪我を、スポーツ外傷と呼びます。

具体的なスポーツ外傷の例は次のとおりです。

  • 突き指
  • 打撲
  • 骨折
  • 切り傷
  • 脱臼
  • 捻挫
  • 肉離れ
  • 腱断裂
  • 靭帯損傷

また、スポーツを続ける中で発生する障害はスポーツ障害と呼び、野球肩、テニス肘、ランナー膝、アキレス腱炎、疲労骨折などがあります。

PRP療法はスポーツ外傷と障害の両方に有効です。PRP投与でダメージを受けた箇所を早く修繕できるでしょう。問題の早期治療を進めれば、怪我をしてしまったプロアスリートもいち早く復帰可能です。

肩腱板断裂

肩腱板断裂は40歳以上の男性に発生しやすい病気で、肩にある腱板の疲労が原因で起こります。日常生活の動作のなかで肩腱板が突然断裂し、肩の痛みや肩の活動範囲を狭めます。

重度になると肩が上がらなくなる方もおり、普段の生活に問題が発生するでしょう。PRP療法と幹細胞治療を同時に進めることで、肩の違和感を軽減しながら腱を再生可能です。

慢性腰痛症

腰の痛みや違和感が3か月以上続く状態を慢性腰痛症と呼びます。慢性腰痛症の患者は腰の痛み、腰の重み、腰の張り、腰のこりを感じ、重度になると日常生活を送ることも難しいです。

PRP療法を慢性腰痛症に取れれば、手術をせずに腰の不快感を和らげられます。腰痛は痛みを緩和しながら治療を進める保存的治療が選択されることが多いですが、PRP療法ならピンポイントで腰の治療を進められます。

PRP療法を受けられない方

PRP療法はガン、リウマチ、自己免疫疾患で投薬を受けている方は治療を受けられません。また中学高校生以下の骨端線が残る方も治療の対象外になります。

医療機関ごとに対象患者が絞られている可能性もあるため、自身がPRP治療が可能であるか直接確認してください。

PRP療法の効果が表れるまでにかかる期間

PRP療法の効果が表れるまでの時間は、治療箇所や内容で異なります。

PRP皮膚再生療法の場合は2週間〜2か月程度で効果が表れやすいものの、軟骨の修復や炎症を抑えるためには1か月〜3か月の期間が必要です。PRP療法の効果は即日ではなく、少しずつ時間をかけて必要があります。

PRP療法の種類

PRP療法は大きく分けて4つの種類に分けられます。

医療機関で対応可能な治療方法が異なる可能性もあるため、希望する治療方法がある方は事前に問いあわせてみてください。

GPSIII

GPSIIIは昔から日本で導入されている一般的なPRP療法で、患者から採取した血液を遠心分離して15分程度でPRPを生成します。そのため採血当日の抽出と投与が可能です。PRPの濃縮度が高く、患部の痛みを和らげる効果が期待できます。

APS

APSはGPSIIIで生成したPRPを再度遠心分離機にかけ、より濃度の高いPRPを作ります。炎症を抑える物質が抽出されるため、変形した関節に対する治療に効果的です。

PFC-FD(凍結PRP)

PFC-FDは、APSと同じようにGPSIIIを活用します。具体的にはGPSIIIで生成されたPRPから成長因子を取り出して凍結乾燥し、変形性関節症を含む長期的に続く痛みに効果の高いPRC-FDを作ります。

PRP-PRO

PRP-PROは血液内の血小板を濃縮し、患部の組織修復を促す治療法です。従来のPRP療法と比較してサイトカインが豊富に含まれているため、より効果的な痛みの改善が期待できます。

※参照元:シン・整形外科(旧東京ひざクリニック)

PRP療法にかかる費用

PRP療法は保険適用外の治療方法であるため、施術箇所次第では治療費用が高額になります。

PRP療法に必要な費用の例は次のとおりです。

  • PRP治療 3万円〜
  • PRC-FD療法 10万円〜30万円程度
  • PRP-PRO療法 25万円〜50万円程度

PRP療法を受けるメリット

PRP療法を受けるメリットには、次のようなものがあります。PRP療法は手術や入院の時間が用意しにくい方に最適な治療方法です。

メスを使用しない

PRP療法は血液の採取とPRPの注入のみで完了するため、メスを使用して体を傷つける必要がありません。安全かつ患者の負担を最小限に抑えて治療が実施可能だと言えるでしょう。治療自体も非常に短時間で済ませられます。

術後の回復期間やリハビリの時間も不要です。その他の持病の影響で手術ができない方や服用中の薬がある方でも治療できます。

副作用のリスクが低い

PRP療法では自身の血液を使用して自己再生力を促すため、異物を体に入れる治療と異なり副作用、アレルギー症状などが起こりにくいです。

ただし施術後3〜5日間は組織の環境変化を原因としたかゆみ、赤み、腫れ、痛みを感じる場合があります。不快な症状は時間の経過とともに自然に消えていきます。

入院不要

PRP療法は実施日も帰宅可能で入院の必要がありません。当日はシャワーや入浴さえ控えれば、普段どおりの生活が送れます。

仕事が忙しく入院が難しい方でも受けやすい治療であり、精神的な苦痛を最小限に抑えられます。背術の翌日以降に不快な症状が強い場合は安静に過ごし、激しい運動は避けてください。

効果の持続期間が長い

PRP治療の効果は約3年間も続きます。ヒアルロン注射を使用した治療に比べて長い間不快な症状を和らげられます。体調不良によるストレスを軽減できるのみでなく、通院回数も減らせるでしょう。

患部に直接アプローチできる

メスを使用しない治療であるPRP療法は直接患部にアプローチ可能なことから、より効果を実感しやすいです。患者の負担を抑えて問題箇所の根本治療が進みます。

PRP療法を受けるデメリット

PRP療法のデメリットには次のようなものがあります。メリットとデメリットを比較して自身が優先するべき事柄を考えてみてください。

効果を実感できない方がいる

人間の血小板には複数の成長因子が含まれており、成長因子の割合に個人差があります。そのため摂取した血液に成長因子が少ない、そもそも成長因子が少ない方はPRP治療の効果が表れにくくなるでしょう。

PRP治療の効果には個人差があることを、事前に把握しておきましょう。

治療費がかかる

PRP治療は保険適用外の治療であり、治療箇所次第では一度の治療に何十万円もの費用が必要になる場合があります。

ただし、通院のみで治療が完了するため、手術費と入院費を考えれば他の治療方法よりも総額が抑えられる事例も多いです。PRP治療の治療費が高いと感じるのなら、その他の治療に必要な費用の総額も計算してみてください。

痛みや腫れが起こる

PRP療法は瀬術そのものに痛みは感じにくいものの、治療後に痛みや腫れが起こることがあります。術後の痛みや腫れは数日で自然に治りますが、副作用の治療のために入院したり再手術をしたりする心配は不要です。

効果を感じるまでに時間がかかる

PRP療法は即日で効果を感じる治療方法ではありません。治療箇所次第では数週間〜数か月の時間をかけて少しずつ効果が表れます。

即効性はないものの、他の保存療法も長い時間が必要であり、手術の場合は傷の回復やリハビリ期間も用意しなければいけません。PRP療法であれば効果を感じるまでの期間に普段どおりの生活が送れます。

PRP療法の流れ

PRP療法の流れについて分かりやすくまとめました。PRP治療を検討しているのなら、ぜひ参考にしてください。

1:採血

PRP治療を受ける医療機関で採血を受けます。特別な準備は必要なく、多くの場合は50mlの血液が採血されます。

2:血液を加工

患者から採取した血液を遠心分離機にかけて加工し、PRPを生成します。PRP治療の場合は採血当日に加工と注入まで実施可能です。

PRP-FDやPRP-PRO療法では凍結作業や抽出作業に3週間の期間が必要です。

3:患部へ注入

問題のある患部に生成したPRPを注入します。施術は注射のみで完了するため短時間で済みます。

PRP療法についてよくある質問

PRP療法を受けたいと考えている方から集まる質問をまとめました。その他の質問がある方は治療を予定している医療機関に直接問いあわせてください。

疑問や不安点のない状態で治療が受けられるとよいでしょう。

PRP療法副作用は?

PRP療法は元から患者自身の体の中にある細胞を活用して進める治療法であるため、注入したPRPで体が副作用を起こす可能性が非常に低いです。アレルギー反応の心配もいりません。体内に注入されたPRPは患部の自己再生力を活性化させます。

年齢制限はある?

PRP治療に上限年齢はありません。メスを使わず体に負担の少ない治療法であるため、高齢の方でも安心して治療を受けられます。

ただし、成長期特有の軟骨組織である骨端線が存在するような年齢の子どもは治療の対象外となります。20歳未満でPRP治療を希望する場合は、医療機関に問い合わせる必要があるでしょう。

効果が表れるまでの期間は?

PRP治療の効果が表れるまでの期間は、治療箇所や内容で異なります。一般的に皮膚治療よりも軟骨や炎症の治療の方が効果を感じるまでに時間がかかり、治療後3か月以上の期間が経過してから効果が表れはじめる場合もあります。

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まとめ

PRP療法は自身の再生力を促進させる新しい治療方法です。手術の必要がなく採血した血液から抽出されたPRPを投与するのみで治療が完結するため、患者が感じる負担を最小限に抑えられるでしょう。

保険適用外治療となることから一定のコストは必要ですが、その他の治療にかかる入院費や通院頻度の高さと比較すれば、メリットの方が大きい治療であると言えます。膝や肩などの関節に問題を感じているのなら、PRP療法の活用を検討してみてください。

※本記事の情報は2023年5月時点のものです。
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