2025.08.26
2026.05.27
「うちの子、このまま背が低いままなのかな?」
「将来、どれくらいまで伸びる可能性があるんだろう?」
お子さまの身長について不安を感じたとき、多くの親御さんがまず気になるのが、
“将来の身長”ではないでしょうか。
しかし、将来の身長は「今の身長」だけで決まるものではありません。
大切なのは、
「これまでどのようなペースで伸びてきたのか」
「骨の成長がどの段階にあるのか」
「思春期がどれくらい進んでいるのか」
など複数の要素を総合的に見ることです。
低身長の診療では、主に
✅ 成長曲線
✅ 骨年齢
✅ 骨端線の状態
✅ 思春期の進み具合
✅ ご両親の身長
✅ 血液検査の結果
などを組み合わせて、
「これからどのくらい伸びる可能性があるか」を評価していきます。
今回は、低身長が気になるお子さまに対して、
“医療機関ではどのように診断や将来身長の予測が行われるのか”
を、分かりやすく解説します。
「今、クラスで背が低い」
「同年代の子と比べて小柄に見える」
こうした “今の見た目の印象” だけで、将来の身長を判断することはできません。
たとえば、今は小柄でも、骨年齢が実年齢より遅れていて、今後も成長できる期間が十分に残っている子もいます。
一方で、今の身長は平均に近くても、
成長曲線が横ばいになっていたり、
思春期が早く進んでいたりする場合には、
今後の伸びが限られてくることもあります。
つまり、身長評価で大切なのは、
「今、何cmか」だけではなく、
「これまでどう伸びてきたか」
「これから伸びる余地がどれくらいあるか」
を総合的に見ていくことです。
身長の評価で最初に大切になるのが、
“成長曲線” です。
成長曲線とは、
年齢ごとの身長の平均値や標準的な範囲をグラフ化したものです。
定期的に身長を記録していくことで、
「現在の身長が同年代の中でどの位置にあるのか」
だけでなく、
「これまでどのようなペースで成長しているのか」
を確認することができます。
成長曲線で見るポイントは、大きく2つあります。
●1つ目は、“現在の身長がどの位置にあるか” です。
医学的には、
同じ年齢・性別の平均身長よりも−2SDを下回る場合、
「低身長」の目安とされます。
−2SDより低い子どもは、全体の約2.3%、
つまり100人中2〜3人ほどにあたると説明されています [日本小児内分泌学会, n.d.]。
●2つ目は、“成長のペースが保たれているか” です。
現在の身長が標準範囲内であっても、
ある時期から身長の伸びが緩やかになっていたり、
それまで沿っていた成長曲線から外れてきたりする場合には、
成長ペースに変化が起きている可能性があります。
そのため、成長曲線は「背が低いかどうか」だけでなく、
“「成長の流れが順調かどうか」を見るための大切な地図”
といえます。
次のような場合には、一度専門的な評価を受けることをおすすめします。
✅ 身長が−2SDを下回っている
✅ 成長曲線が横ばいになってきた
✅ 以前より身長の伸びるペースが落ちている
✅ 成長曲線のラインを下にまたいできた
✅ 思春期のサインが早い、または進み方が速い
✅ ご両親の身長から考えても、本人の身長がかなり低めに推移している
特に、思春期が始まる時期は、
身長が大きく伸びやすい一方で、
骨の成熟も急速に進みやすい時期です。
一般的に、
女の子では、10〜12歳ごろ
男の子では、11〜13歳ごろ
に、“成長スパート”と呼ばれる急激な身長増加の時期を迎えることが多く、
思春期の進み方によって、その後の伸び方や最終身長に影響が出ることがあります。
「まだ様子を見ていいのか」
「今のうちに検査した方がいいのか」
を判断するためにも、
迷った段階で一度相談してみることが大切です。

将来の身長を考えるうえで、成長曲線と並んで重要なのが“骨年齢”です。
骨年齢とは、実際の年齢ではなく、
“骨がどれくらい成熟しているか”
を示す指標です。
たとえば、同じ12歳でも、骨の成熟度が10歳くらいの子もいれば、14歳くらいまで進んでいる子もいます。
骨年齢を調べる方法としては、
一般的に“手のレントゲン撮影”が用いられます。
手の骨は成長に伴って形や隙間(骨端線)が変化していくため、
その成熟度を確認することで、
「現在どのくらい骨の成熟が進んでいるのか」
「今後どの程度身長が伸びる余地があるのか」
を推定することができます。
骨年齢が実年齢よりも遅れている場合は、
骨の成熟がゆっくりで、今後まだ伸びる時間が残っている可能性があります。
一方で、
骨年齢が実年齢よりも進んでいる場合は、
思春期や性ホルモンの影響などによって、
骨端線が閉じる時期が近づいている可能性があります。
つまり骨年齢は、
「あとどれくらい伸びる時間が残っているか」を見るための
“骨の成長時計”
のようなものです。
骨年齢を評価する際には、
”骨端線“の状態が重要な判断材料になります。
骨端線とは、
子どもの骨が縦方向に伸びるための成長部分(骨の両端に存在する隙間)で、
この骨端線が開いている間は、身長が伸びる余地があります。
一方で、完全に骨端線が閉じてしまうと、
骨が縦に伸びる仕組みが止まるため、
その後の身長の伸びは期待できなくなるとされています。
そのため、身長治療を考える際には、
「骨端線がどれくらい残っているか」
を見ることが非常に重要です。
「まだ伸びる可能性があるのか」
「治療によって改善が期待できる段階なのか」
こうした判断のために、骨端線の確認は欠かせない検査といえます。
将来の身長は、1つの検査だけで正確に決まるものではありません。
実際の診療では、複数の情報を総合的に確認しながら、
「今後どのくらい伸びる可能性があるか」を評価していきます。
主に確認するのは、次のような項目です。
✅ 現在の身長・体重
✅ これまでの成長曲線
✅ 1年間の成長速度
✅ 骨年齢
✅ 骨端線の状態
✅ 思春期の進行度
✅ ご両親の身長
✅ 血液検査によるホルモン状態
ただし、予測身長は、
“確定した未来”ではなく、
今の成長状態から考えた“医学的な見立て”
として受け止めることが大切です。
当院での将来の低身長予測評価は、次のような流れで行っております。
ご両親の身長をもとに、遺伝的に予測される身長の目安(ターゲット身長)を参考にします。
✍️補足
当院では、以下のような計算式を参考値のひとつとして用いています。
※ただし、これはあくまで目安であり、実際の最終身長を決定するものではありません。
母子手帳や学校健診の記録などをもとに、これまでの身長の伸び方を確認します。
現在の身長がどの位置にあるかだけでなく、
「一定のペースで伸びているか」
「途中で成長速度が低下していないか」
なども重要なポイントになります。
手のレントゲンを撮影し、骨年齢や骨端線の状態を確認します。
当院で保有している成長データとも照らし合わせながら、
「骨の成熟度」
「今後どの程度身長が伸びる余地があるか」
を評価していきます。
また、骨年齢と実年齢との差などから、
“早熟傾向”か、“晩熟傾向”か、
についても確認します。
思春期サインの出現時期などを参考に、
「思春期が平均より早いか、ゆっくりか」
を確認します。
思春期の進み方は、
骨の成熟スピードや最終身長にも大きく関わるため、
将来身長を考えるうえで重要な評価項目です。
必要に応じて、ホルモンや栄養状態を確認します。
当院では、
・ALPやIGF-1
・栄養状態(亜鉛、鉄など)
・思春期関連ホルモン
などを確認し、
成長に影響する要因がないかを総合的に評価しています。
当院では、これらの情報を総合的に確認しながら、将来身長の見立てや治療方針を検討します。
必要に応じて、成長ホルモン治療だけでなく、思春期コントロール療法、栄養補充療法、生活習慣の見直しなどを組み合わせて考えていきます。
子どもの将来の身長は、今の身長だけでは判断できません。
「これまでどのようなペースで成長してきたのか」
「骨の成熟がどのくらい進んでいるのか」
「思春期がどの段階にあるのか」
など、さまざまな要素を総合的に見ながら、
「身長が今後どのくらい伸びる余地がどのくらい残っているか」
を見ていくことが大切です。
さらに、必要に応じてホルモン値や栄養状態なども確認し、
成長に影響する要因がないかをについても評価していきます。
「まだ様子を見てよいのか」
「今のうちに治療を考えた方がよいのか」
は、自己判断だけでは難しい部分もあります。
気になる場合は、早めに専門的な検査を受け、
お子さまの“成長の現在地”
を確認してみましょう。
当院では、
成長曲線・骨年齢・骨端線・血液検査などを総合的に評価し、
お子さま一人ひとりに合わせた治療プランをご提案しています。
「うちの子は将来どれくらい伸びる?」
と感じた方は、ぜひ一度ご相談ください。
また、今回ご紹介したような将来の身長予測については、
「身長シミュレーション」のメニューにてご案内しております。
お子さまの現在の成長状態をもとに、
今後の伸び方や成長の可能性について詳しく評価しておりますので、
ご興味のある方はお気軽にご予約ください。
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参考文献
一般社団法人 日本小児内分泌学会. (日付不明). 低身長. 参照先: 日本小児内分泌学会: https://jspe.umin.jp/public/teisinchou.html
2025.08.26
2025.09.13