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膝の内側を押すと痛いのはなぜ?原因となる2つの疾患と治療法を解説

膝の内側を押すと痛い原因はさまざまです。しかし、痛みが継続する場合は、膝の疾患を抱えている可能性があります。

治療をせずに放置すると重症化する可能性があるため、はやめの対策が必要です。

とはいえ、原因がわからず不安を感じている方も多いでしょう。

そこで本記事では、膝の内側の痛みを引き起こす疾患について、症状や原因、治療法を詳しく解説します。

膝を押した際に痛みがある方はこの記事で原因を知り、はやめに整形外科を受診しましょう。

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目次

膝の内側を押すと痛い主な原因とは?

膝の内側を押した際に感じる痛みには、次のような原因が考えられます。

  • 筋肉や骨に炎症が起きている
  • 筋肉がこっている
  • スポーツで負傷した
  • 日常生活での動作負荷

それぞれの原因について詳しく解説します。

筋肉や骨に炎症が起きている

筋肉や骨に炎症が起きると痛みが発生します。

筋肉や骨に炎症が起きる原因はさまざまですが、次の疾患が関係している可能性もあります。

  • 鵞足炎(がそくえん):膝下5cmのところにある鵞足と呼ばれる部位が炎症を起こす疾患
  • 変形性膝関節症:膝関節の軟骨が摩耗することにより起こる疾患

これらの疾患を放置すると、状態が悪化し歩行が困難になる場合もあるため、早期の治療が必要です。

筋肉がこっている

太腿の内側にある内側広筋(ないそくこうきん)のこりも、膝が痛む原因の1つです。

内側広筋とは、膝の曲げ伸ばしや、お皿を中央に引き寄せて正常な位置に保つ働きがある筋肉です。

しかし、内側広筋がこると上記の働きが低下し、膝の痛みにつながりやすくなります。

内側広筋は運動不足や姿勢の悪さなどによってこるため、ストレッチや筋力トレーニング、整体などを積極的におこなうとよいでしょう。

スポーツで負傷した

スポーツによる膝周りの靭帯や腱、筋肉などの負傷も、膝の内側が痛む原因の1つです。

とくに急な方向転換や転倒、衝突などは膝に大きな衝撃が加わり、次のような外傷を引き起こす場合があります。

  • 内側側副靭帯損傷:関節の内側にある脛骨と大腿骨をつなぐ靭帯が損傷した状態
  • 半月板損傷:膝関節の内側と外側に一つずつある半月板が、欠けたりヒビが入ったりする状態

上記の外傷は、サッカー、アメフト、ラグビーなど切り返しが多い種目や、競技者同士の接触があるコンタクトスポーツで起こりやすい傾向があります。

そのまま放置すると症状が悪化する可能性もあるため、早めにクリニックを受診しましょう。

日常生活での動作負荷

膝の内側の痛みは、スポーツ外傷だけでなく日常生活での動作負荷でも生じる場合があります。

例えば、歩行時には体重の3~4倍、階段の昇降時に6~7倍の負荷がかかるとされています。

とくに、加齢や運動不足による筋力の低下や、肥満が重なると上記のような日常的な動作でも膝周辺の組織に炎症や損傷がおこる可能性があるため、注意が必要です。

膝の内側を押すと痛い方によくある疾患とその原因

膝の内側を押すと痛い場合によくある疾患が、鵞足炎(がそくえん)と変形性膝関節症です。

どちらも早期治療で改善が期待できますが、重症化すると手術が必要になる場合もあります。

それぞれの症状と原因について詳しく解説するので、自身の症状に当てはまるか確認してみましょう。

鵞足炎

鵞足炎は、膝の内側にある鵞足と呼ばれる部位が炎症を起こす病気です。

鵞足とは膝から5~7cm下のにある、すねの骨と縫工筋、薄筋、半腱様筋の3つの筋肉が付いている部位で、形がガチョウ(鵞鳥)の足に似ていることから名前が付きました。

鵞足にある3つの筋肉は、膝の曲げ伸ばしや、膝から下を外側へひねるなどの動作に関与しており、繰り返しおこなうことで炎症を起こしやすくなります。

また、変形性膝関節症と合併して発症するケースもあります。

鵞足炎の主な症状、次のとおりです。

  • 圧痛(押すと感じる痛み)
  • 階段を上り下りで膝の内側が痛む
  • 腫れ
  • 熱感

重症になると痛みが激しくなり、何もしていなくても痛みを感じるようになります。

膝に負荷がかかるスポーツ

鵞足炎は、膝に負荷がかかるスポーツによって発症する場合があります。

先述した通り、鵞足炎の主な原因は膝の曲げ伸ばしや膝をひねるときの負荷がであり、このような動作を繰り返しおこなうアスリートに多くみられます。

具体的には、ランニング、長距離走、サッカー、バスケットボール、水泳の平泳ぎなどの膝に負担がかかる運動で起こりやすいため、痛みがある場合は早めにクリニックを受診しましょう。

不適切なトレーニング

自身に見合っていない不適切なトレーニングをおこなっている場合も、鵞足炎を発症する可能性があります。

とくに、トレーニング量が多く、筋肉の疲労回復が間に合わないとオーバーユース(使いすぎ)になるため注意が必要です。

走行距離を急激に増やしたり、急に坂道を走ったりすることも鵞足炎のリスクを高めます。

また、次のような運動時のフォームや身体の使い方が適切ではない場合も鵞足炎を引き起こします。

  • 膝を内側にひねるジャンプや着地
  • つま先が外を向いて膝が内側に入るランニングフォーム
  • 回内足(かかとが内側に傾いて、土踏まずが消失している状態)

回内足の場合はインソールやサポーターの使用により動きを矯正が可能です。

トレーニング時は、上記の動きが癖になっていないか意識しながらおこなうとよいでしょう。

鵞足炎のなりやすさは、膝の負担になるような不適切なトレーニング場所や、足に合っていないシューズの使用なども関係しています。

鵞足炎を予防するためには、柔らかい平地で、自身の足の形やサイズ、用途に合ったシューズを履いてトレーニングをおこないましょう。

ストレッチを怠る

十分なストレッチをおこなわず運動をしている場合も、鵞足炎を発症しやすくなります。

運動前のウォーミングアップは、筋肉や関節を温める重要な作業です。

ウォーミングアップをせずに運動すると、衝撃を受け止めきれずに膝に負荷がかかりやすくなります。

また、運動後のクールダウンも筋肉に溜まった疲労物質を排出し、硬くなった筋肉に柔軟性を回復させて修復を促す役割があります。

ストレッチは、鵞足炎のみでなく他の怪我を予防するためにも重要あるため、運動の前後に必ずおこない、膝の負担を軽減できるように対策してみてください。

運動前のストレッチは10分前後、運動後は負荷がかかった部位をそれぞれ30秒以上をそれぞれ反動をつけないようにおこないましょう。

変形性膝関節症

変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減り、膝に痛みを生じる病気です。

中高年の膝の痛みの主な原因は変性膝関節症であるとされており、男女比は1:4と女性がかかりやすい傾向があります。

また、高齢になるほど発症する人の割合が増加します。

初期症状は、起き上がりや立ち上がりなど、動き始めるタイミングでの膝のこわばり、鈍痛、重い感覚などがあります。

休むと痛みは解消するため、そのまま放置してしまう人も少なくありません。

しかし、症状が進行すると、次のような動作でも膝に痛みを感じるようになります。

  • 正座
  • 階段の昇り降り
  • しゃがみ込み
  • 急な方向転換

さらに進行すると、慢性的な痛み、膝関節が変形してO脚になるなどの症状が現れます。

末期の段階では、関節の軟骨の大部分が失われ、太腿の骨とすねの骨が直接擦れるため、強い痛みで歩行をはじめとする日常動作が困難となり、外科的手術の検討が必要です。

そもそも変形性膝関節症は自然治癒が望めない病気であるため、膝に痛みを感じる場合は早めにクリニックを受診しましょう。

肥満

変形性膝関節症の原因の1つとして、肥満が挙げられます。

先述したように、歩行時にかかる膝への負荷は体重の3~4倍、階段の昇降時で6~7倍です。

肥満で体重が重いと膝への負担はさらに大きくなるため、変形性膝関節症にかかりやすくなります。

また、急激に体重が増加することも変形性膝関節症のリスクを高めます。

たとえば、3kg太ったときの膝にかかる負荷の増加量は、歩行時で9kg以上、階段の昇降時で18kg以上です。

とくに肥満に分類されるBMI30以上の方は、変形性膝関節症のリスクが普通体重の方に比べて6.8倍高いとされています。

そのため、変形性膝関節症の予防や治療のためにも、体重管理が重要です。

遺伝

変形性膝関節症の発症リスクは、遺伝的要素も関係しています。

変形性膝関節症にかかわるDVWAという遺伝子が存在し、特定の配列がある場合に変形性膝関節症を発症する可能性は1.6倍になることが判明しています。

そのため、血縁者に変形性膝関節症を発症した方がいる場合は、変形性膝関節症の予防のために体重管理や膝周りの筋力維持などをおこなうとよいでしょう。

老化

変形性膝関節症のもっとも大きな原因が老化です。

膝関節の軟骨は、加齢にとともに水分量が減少し、弾力を失ってすり減ります。

また、筋力も低下するため、体重による負荷をカバーできなくなり、より膝関節の負担が増加します。

膝が痛みが強くなると運動や外出を控える方も多く、筋力の低下をまねき症状が進行す悪循環に陥るケースも少なくありません。

変形性膝関節症を予防するためには、膝に負担をかけない適度な運動や、バランスのよい食事などの生活習慣を意識して老化による膝の負荷を軽減することが大切です。

感染の後遺症

病気や怪我の後遺症で変形性膝関節症になることもあります。

先述した肥満、遺伝、老化による変形性膝関節症が一次性と呼ばれるのに対し、病気や怪我の後遺症による変形性膝関節症は二次性と呼ばれます。

変形性膝関節症の多くは一次性であり、原因となる病気や怪我がない点が特徴です。

一方、二次性の変形性膝関節症は、次のような病気や怪我のより引き起こされます。

  • 炎症性疾患:関節リウマチ、化膿性関節炎
  • 腫瘍性疾患:滑膜性骨軟骨腫症、色素性絨毛結節性滑膜炎
  • 壊死性疾患:大腿骨顆部壊死
  • 外傷:靭帯損傷、半月板損傷、骨折、脱臼

原因として多いのは外傷ですが、とくに半月板損傷が悪化し変形性膝関節症になるケースが多くみられます。

変形性膝関節症の予防には、上記のような基盤となる病気を早い段階で治療することが重要です。

鵞足炎を発症しやすい方

鵞足炎になりやすい方の特徴は、次のとおりです。

  • 肥満の方
  • スポーツをしている方
  • 体が硬い方
  • 靴のサイズが合っていない方

それぞれ詳しく解説するので、自身に当てはまる特徴がある場合はぜひ参考にしてみてください。

肥満の方

先述したように、体重が重いほど膝関節への負担が大きくなるため、鵞足炎になるリスクも高くなります。

肥満の方が鵞足炎になった場合は、治療の一貫として体重管理の指導もおこなわれます。

スポーツをしている方

スポーツをしていると膝関節に負担がかかりがちです。

とくに長距離走、サッカー、バスケットボールなどのスポーツは鵞足炎を起こしやすい傾向があります。

また、他のスポーツでもトレーニングとしてランニングをおこなう場合も鵞足炎になることがあるため、違和感や痛みがある場合は早めの対処が必要です。

体が硬い方

体が硬い方は関節や筋肉の動きが悪く、膝関節に負担がかかり鵞足炎を発症する場合があります。

ただし、股関節や太腿の筋肉など歩行時に動かす部位の柔軟性を高めることで、鵞足炎は予防できます。

そのため、体が硬い自覚がある方は、定期的なストレッチがおすすめです。

靴のサイズが合っていない方

靴のサイズが合っていないと、正しい歩行ができません。

その結果、膝関節に余計な負担がかかり鵞足炎を引き起こす原因になります。

また、ランニングシューズを使用せずランニングすると、膝への衝撃を靴が吸収しないために鵞足炎を発症することがあります。

まずは靴が自身の足にあっているかや、用途にあった靴を使用しているかを見直してみるとよいでしょう。

変形性膝関節症を発症しやすい方

変形性膝関節症になりやすい方の特徴は、次のとおりです。

  • 肥満の方
  • 高齢者
  • 女性
  • O脚の方

それぞれの特徴を詳しく解説するので、膝関節に痛みがある方はぜひチェックしてみてください。

肥満の方

肥満の方は、普通体重の方と比較すると鵞足炎だけでなく変形性膝関節症のリスクも高くなります。

変形性膝関節症の治療でおこなわれる運動療法は、筋力の向上、血行促進、筋肉を目的としていますが、肥満の改善にも効果的です。

予防のためには、膝の負担にならない程度の運動療法とあわせて、バランスの取れた食事管理を自宅でおこない、体重をコントロールすることも大切です。

高齢者

膝関節の軟骨は、加齢とともに水分量が失われるため、高齢になるほど罹患者が増える傾向があります。

とくに、40代以降に発症する場合が多く、65歳以上の約50%が変形性膝関節症です。

放置していても症状が改善されることはないため、年齢を重ねてから膝に痛みが現れた方は、早めにクリニックを受診しましょう。

女性

変形性膝関節症は男性に比べ女性の方がかかりやすい病気です。

主な原因は女性の方が男性よりも筋力が弱く、膝関節への負担がかかりやすいためです。

また、女性ホルモンのエストロゲンには骨、関節、筋肉を健康に保つ作用がありますが、閉経にともない減少し変形性膝関節症にかかりやすくなります。

更年期は体の不調が重なりやすいため、膝に痛みや違和感がある場合は早めに医師に相談しましょう。

O脚の方

O脚の場合、膝の内側にのみ体重がかかり、内側の軟骨や骨が損傷し、変形性膝関節症になりやすい傾向があります。

発症すると膝への負担が増加し、より軟骨や骨が変性してO脚が顕著となり、症状が進行します。

O脚が悪化すれば膝の曲げ伸ばしや正座も困難となり、最終的に外科的手術の検討も必要です。

【セルフケア】膝の内側の痛みに効果的な対処方法

膝の内側に痛みは、次のようなセルフケアで軽減できる可能性があります。

  • 湿布を貼る
  • 患部を冷やす
  • 市販薬を飲む
  • サポーターを装着する
  • ストレッチする

それぞれの方法を詳しく解説するので、痛みが気になり始めた方はぜひ試してみてください。

ただし、対処方法を数日継続しても症状が改善されない場合はクリニックを受診しましょう。

湿布を貼る

湿布には炎症を抑えて痛みを止める成分が配合されています。そのため、膝が炎症を起こしている場合は湿布を貼ると痛みが和らぐ可能性があります。

湿布には冷湿布と温湿布がありますが、実際に冷やしたり温めたりする効果はないため、膝の痛みの改善に使用する場合はどちらでもかまいません。

ただし、炎症が強く腫れや熱感がある場合は、腫れや熱感を抑えられる冷湿布がおすすめです。

また、温湿布は刺激により温かく感じる成分が配合されているため、肌のかぶれに注意しましょう。

患部を冷やす

外相によって痛みがある場合や、膝に腫れや熱感が生じている場合は、患部の冷却が効果的です。

血管を収縮させることで、消炎、鎮痛、腫れの改善が期待できます。

食品用の保冷剤は凍傷の恐れがあるため、水で濡らしたタオル、アイスノン、氷枕などを使用して冷却してみてください。

30分ほどの冷却を1日2~3回、2日間ほどおこない、痛みがなくなるか様子をみましょう。

ただし、慢性的な痛みがある場合に冷却すると、血行が悪くなりかえって痛みが増す可能性があるため、温める方が効果的です。

入浴やサポーターで膝を温めれば、筋肉や腱が柔軟になり、関節の動きの改善も期待できます。

また、同時に安静にすることも大切です。

市販薬を飲む

ドラッグストアや薬局で販売されている消炎鎮痛剤を服用すると、炎症が抑えられて痛みが和らぎます。

膝の痛みに効果が期待できる成分は次のとおりです。

  • アルミノプロフェン
  • ロキソプロフェン
  • アセトアミノフェン

薬によって特徴や懸念される副作用は異なるため、どの市販薬を選べばいいか悩む場合は薬剤師に相談してみてください。

また、市販薬を服用しても改善がみられない場合はクリニックを受診しましょう。

サポーターを装着する

サポーターを着用すると、膝周りの筋肉が固定され膝関節の動きが抑制されるため、痛みを軽減できます。

膝を固定すると、膝関節のぐらつきが抑えられ、歩行や階段を昇り降りする際に膝の動きも安定します。

また、サポーターを着用することで得られるもう一つの効果が、膝の保温です。

膝を温めると、血流が促進され痛みが和らぐうえ、筋肉が硬くなることを防ぎ、膝関節の負担を減らせます。

このように、サポーターには膝の動きを安定させ、負担を軽減する役割があるため、スポーツや立ち仕事の際に着用すれば怪我の防止も可能です。

ストレッチする

筋肉のこわばりにより膝に痛みが生じる場合があります。

そのような場合にストレッチすると、血流がよくなることで筋肉がほぐれ、痛みが改善します。

入浴後の体が温まった状態で、膝をゆっくり曲げたり伸ばしたりするストレッチをおこなうとより効果的です。

膝の内側の痛みの進行前に整形外科を受診しよう

膝の内側の痛みが続く場合、鵞足炎や変形性膝関節症である可能性があるため、はやめの整形外科の受診をおすすめします。

次では、鵞足炎と変形性膝関節症の治療法をそれぞれ解説します。

どのような治療がおこなわれるのか不安がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

鵞足炎の治療法

整形外科でおこなわれる鵞足炎の主な治療は、次の4種類です。

  • アイシング
  • 薬物療法
  • ストレッチ
  • バイオセラピー

アイシング

炎症による熱感を取り除くためにまずおこなう治療が、アイシングです。

具体的には、氷やアイスノンを使用し1日3~4回、20~30分ほど患部を冷却します。

アイシングは自宅でおこないますが、詳しい方法については医師より指導があるためよく確認しておきましょう。

薬物療法

炎症を抑えて痛みを軽減するために、消炎鎮痛剤を使用した薬物療法をおこないます。

消炎鎮痛剤には内服薬や塗り薬、湿布などがあり、状態に応じて処方されます。

また、薬物療法にはステロイド注射もがあり、即効性に優れている点が特徴です。

ただし、ステロイド注射を繰り返すと膝関節に悪影響を及ぼす可能性があるため、他の保存療法で改善がみられない場合に使用されます。

ストレッチ

アイシングや薬物療法で炎症が静まり痛みが軽減したら、ストレッチをおこないます。

ストレッチは鵞足にある筋肉の柔軟性を高め、再び炎症が起こらなように防止する役割があります

ストレッチの方法は症状に合わせて指導されるため、間違った方法でおこなわないようによく確認しましょう。

バイオセラピー

ほかの保存療法で痛みが改善されない場合や、スポーツのような早期の治療が必要な場合は、バイオセラピー(再生医療)も選択肢の1つです。

バイオセラピーとは、患者自身の血液や細胞を注入して自己再生能力を引き出し、損傷、炎症した組織の機能を回復させる治療法です。

バイオセラピーにはPRP療法や、PRP療法を活用したPFC-FD™療法などさまざまな種類があり、症状や損傷部位に応じて選択します。

入院が必要なく副作用のリスクも少ないため、実際に膝や肘を故障したスポーツ選手の治療にも活用されています。

ただし、バイオセラピーにかかる費用は自己負担となるため、医師とよく相談して決めましょう。

変形性膝関節症の治療法

変形性膝関節症の主な治療法は、次の4種類です。

  • 運動療法
  • 薬物療法
  • 外科手術
  • バイオセラピー

運動療法

変形性膝関節症の運動療法には、次のような3つのメリットがあります。

  • 体重が落ちることで、膝関節への負担が減る
  • 筋力が増すことで、膝関節の動きが安定する
  • 代謝がよくなることで、組織の再生が促進される

変形性膝関節症は自然治癒が期待できない病気ですが、上記のような作用により症状の進行を抑えられます。

ただし、間違った運動をおこなうと膝に負担がかかり症状が悪化する可能性があるため、自己流の運動は注意が必要です。

整形外科では、次のような膝に負担がかかりにくい運動療法を提案しているため、専門医の指示に従いながらおこないましょう。

  • 寝ながらおこなうストレッチ
  • 座っておこなう筋力トレーニング
  • 膝に痛みを感じない程度のウォーキング
  • サイクリング
  • 水泳、水中ウォーキング

薬物療法

膝に変形が少ない初期段階や膝に腫れがある場合は、薬物療法がおこなわれます。

薬物療法には内服薬、外用薬、注射などがあり、炎症や痛みを抑える作用が期待できます。

炎症を抑えて痛みを軽減する目的でおこなわれるため、薬物療法そのものに変形性膝関節症を治癒する効果は期待できません。

ただし、運動療法や体重管理などを並行しておこない、膝にかかる負担を軽減できれば症状が改善される可能性があります。

外科手術

運動療法と薬物療法を2~3か月継続しても症状が改善しない場合は手術をおこないます。

変形性膝関節症でおこなわれる主な手術方法は、次の3種類です。

  • 関節鏡視下手術:関節鏡を患部に挿入し、損傷した軟骨の破片除去やささくれた軟骨の表面をなめらかにする手術
  • 高位脛骨骨切り術:膝関節の下にある脛骨の一部を切除して膝のゆがみを矯正し、関節にかかる負荷を均等にする手術
  • 人工膝関節置換術:変形した骨や軟骨を薄く削り、人工関節に置き換える手術

関節鏡視下手術は症状が軽度~中度、高位脛骨骨切り術は中度、人工膝関節置換術は重度の場合に適応となります。

どの手術方法もメリット、デメリットの双方があるため、進行度合いのほかに年齢、筋力、生活スタイルを考慮して選択することが大切です。

バイオセラピー

変形性膝関節症でおこなわれる代表的なバイオセラピーは、PRP療法や幹細胞細胞治療などがあります。

とくに自身の血小板を濃縮し患部に注入するPRP療法は、変形性膝関節症やスポーツ外傷の治療法として多くのクリニックで採用されています。

ただし、多くメリットがある一方で、複数回の治療が必要になる可能性があり、費用が自己負担になるなどのデメリットもあります。

メリット・デメリットをそれぞれよく理解したうえで、自身にあった治療法を検討しましょう。

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まとめ

膝の内側に感じる痛みにはさまざな原因が考えられますが、鵞足炎や変形性膝関節症のような病気によって生じている可能性もあります。

病気が進行すると、歩行をはじめとする日常生活に支障が出る場合もあるため、湿布や市販薬の使用を数日続けても痛みが軽快しない場合は、はやめに整形外科を受診しましょう。

また、病気の進行を止めるためには自宅でのセルフケアも重要です。

膝に負担をかけないストレッチや筋力トレーニング、体重管理などを整形外科の指導のもとおこない、早期治療を目指しましょう。

※本記事の情報は2023年5月時点のものです。
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