半月板損傷は、スポーツや加齢が原因で発症する疾患です。
半月板は一度損傷すると自然治癒が難しく、場合により手術療法を検討する必要もあります。半月板損傷の治療と聞くと、手術が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
しかし、手術は精神的ストレスや身体的な負担が大きいため、できる限り避けたいところです。
本記事では、半月板損傷を手術しないで治療する方法を徹底的に解説します。手術しないで治療する方法はないのかと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
半月板の特徴
そもそも半月板とは、どのような部分なのでしょうか。手術以外の治療法を知る前に、半月板について解説します。
膝関節の中にある
半月板は、膝関節の中にある組織です。膝関節の太ももの骨(大腿骨)とすねの内側の骨(脛骨)の間に位置し、アルファベットのCの形をしています。
半月板は内側と外側に一枚ずつあり、膝の動きをスムーズにしたり、クッション作用で衝撃を和らげたりする役割があります。膝関節の位置を安定させる働きもあり、足の動きに関して重要な役割を担う組織です。
半月板が損傷すると、膝の腫れや熱感、激しい痛みなどを引き起こします。さらに膝の曲げ伸ばしが難しくなるほか、重度になると膝が動かなくなるロッキング状態になることもあります。
一度損傷した半月板は、何らかの治療をしなければ治りません。症状を放置していると変形性膝関節症を発症する恐れがあり、手術が必要になるケースもあります。
半月板損傷の症状が出始めたら、早期治療をおこないましょう。
自然治癒が難しい部位である
半月板は修復に必要な血管が不十分であり、自然治癒が難しい部位です。半月板の外側3分の1には血管が存在するものの、内側3分の2にはありません。
半月板の外側が損傷した場合は修復される可能性もありますが、血管が乏しい内側が損傷した場合は自然治癒が難しくなります。
血管は半月板の外側の30%程度にのみ存在するため、基本的に自然治癒は期待できず、保存療法や手術療法などの治療が必要です。
また半月板損傷を放置すると痛みや腫れが悪化し、さらに関節軟骨を傷め、変形性膝関節症に進行していきます。
半月板損傷は自然に治ることがなく、徐々に進行していく疾患です。早期治療をおこない、症状の悪化を防ぐ必要があります。
半月板損傷の原因
半月板を損傷する主な原因は、スポーツによる怪我や加齢です。それぞれの原因について、詳しく解説していきます。
スポーツ
半月板損傷の原因として、とくに多いものがスポーツによる怪我です。
バスケットボールやサッカー、テニス、野球などの膝をひねる動きの多いスポーツが原因となるケースが多く、半月板にストレスがかかることで損傷します。
スポーツ中の急なストップやジャンプなどの動作で、膝に過度な負荷をかけることが原因です。
またスポーツ中に限らず、半月板は日常の動作でも損傷する場合があります。体重やO脚などで膝への負担が大きい場合や、生まれつき半月板が損傷しやすい形状である場合も半月板損傷を引き起こす原因の一つです。
スポーツが原因で半月板を傷めないためには、軽いウォーキングや水泳などの膝に負担の少ない運動を取り入れましょう。
加齢
半月板損傷はスポーツでよく見られる疾患ですが、加齢も損傷する原因の一つです。年齢とともに半月板の水とコラーゲンは減少するため、日常動作や小さな怪我でも傷つきやすくなります。
加齢が原因の半月板損傷は、半月板が細かく避けるように断裂し、膝を曲げたときに強い痛みを伴うことが特徴です。
半月板は加齢により損傷しやすくなることから、40歳以上の方はスポーツ中のみならず、日常生活の動作でも注意する必要があります。
半月板損傷の症状
半月板損傷は進行度合いにより、さまざまな症状を引き起こします。ここからは、半月板損傷の具体的な症状について解説します。
いずれの症状が起きている場合でも、早期治療をおこなうことが大切です。
突然膝の痛みを感じる
スポーツや加齢などの原因により半月板を損傷すると、突然膝の痛みを感じるようになります。歩行時や階段を昇り降りしているときなど、膝に負荷がかかる動作時に痛みが生じ、膝の曲げ伸ばしが困難になります。
痛みを感じはじめた初期段階では、症状の進行を遅らせることも可能です。痛みを感じたら早めに整形外科を受診し、適切な治療を受けましょう。
膝が曲がったまま動かなくなる
半月板損傷が進行すると、膝が動かなくなるロッキングと呼ばれる現象が起こります。
ロッキング現象は、損傷した半月板が関節の隙間に挟まることで引き起こされる症状です。膝がロックされたように動かなくなることに加えて激しい痛みを伴うため、日常生活に支障をきたすようになります。
ロッキング現象の前には、次のようなサインが現れる場合が大半です。
- 膝の引っかかり感
- 膝に力が入らない
- 膝が抜けるような感覚
- 膝関節部の腫れ
- 痛みが長引いている
上記のようなサインが見られたら、膝が動かなくなるロッキング現象を引き起こす可能性があります。
関節に水や血が溜まったりする
関節内に水や血が溜まることも、半月板損傷の症状の一つです。損傷した半月板の一部が関節内に飛び散り、滑膜と呼ばれる部分に炎症が起こることで、膝に水や血が溜まります。
膝全体に腫れや熱感を感じたり、重苦しい違和感を抱いたりする場合は、関節内に水や血が溜まっている可能性が高いでしょう。炎症が治らない限り改善されることはないため、まずは膝の水を抜く必要があります。
半月板損傷を手術しないで治療する方法
半月板損傷は、手術せずに治療できる場合があります。手術以外の治療法を知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。
保存療法
保存療法は半月板の損傷が軽度の場合や、血管のある部位を傷めている場合に用いられる治療法です。
保存療法の種類には薬物療法や物理療法、装具療法、運動療法などがあり、症状に応じて適切な方法を選択します。半月板を残せることで変形性膝関節症になりにくい反面、治療期間が長くなる傾向にあります。
保存療法で症状が落ち着かない場合は、手術療法を検討します。
薬物療法
薬物療法は外用薬(湿布)や内服薬などで炎症を抑えたり、ヒアルロン酸注射を投与したりなど、薬を用いて治療する方法です。
外用薬や内服薬で炎症が抑えられると、関節内にヒアルロン酸を注射します。ヒアルロン酸は体内に吸収されるため、効果は持続しないものの、痛みの緩和や関節軟骨のクッション性を高める効果が期待できます。
薬物療法には痛みを和らげる効果があるものの、継続的な治療が必要である点がデメリットです。
物理療法
物理療法とは機器の電気や温熱、レーザー、マッサージなどの物理的な手段を用いて、膝の痛みや炎症を抑えられる治療法です。
物理療法は、温熱療法と寒冷療法の2つに分けられます。温熱療法では赤外線や低周波、ホットパックなどを使用して膝を温めることで血行を促進し、痛みを緩和させます。
一方で寒冷療法は、冷たい湿布やタオルを用いて膝を冷やすことで、痛みを和らげる方法です。
しかし物理療法は、痛みや炎症が改善しない場合もある点がデメリットです。
装具療法
装具療法は、膝のテーピングや靴底のインソールなどを装着し、痛みの緩和を図る治療法です。
装具を着けることで膝にかかる負荷を減らし、半月板の損傷を防ぐほか、膝関節が動きやすくなる効果も期待できます。装具には多くの種類があるため、損傷した部位や症状の度合いに応じて使用します。
装具療法のデメリットは、装具がなければ痛みが緩和されないことです。装具に頼るのではなく、適度な運動で膝周りの筋肉を鍛えましょう。
また膝のテーピングや靴底のインソールなどは、さまざまな場所で販売されているものの、医師の指導のもとで作ることをおすすめします。
運動療法
運動療法はストレッチやウォーキング、水泳などの膝に負担がかかりにくい運動をおこない、膝周りの筋肉を鍛える治療法です。
適度な運動により筋肉が鍛えられることで、痛みの緩和や可動域の拡大、膝の安定性を高める効果があります。
運動療法は膝の痛みや腫れ、炎症が落ち着いてきた時期に、低下した筋力を取り戻すために用いられる場合が大半です。
しかし運動療法は適切な方法で実施しなければ、かえって症状を悪化させる場合があります。自己判断での運動は避け、医師の指示に従いながら正しい方法でおこなうことが重要です。
再生医療
再生医療とは、自身の脂肪細胞や血液細胞で作成した治療薬を、膝関節内に注射する治療法です。
手術や入院の必要がなく、半月板も温存できるため、関節が変形するリスクを減らせる点がメリットです。保存療法を受けても効果が見られない方や、手術療法を避けたい方などの新しい選択肢として検討します。
また再生医療は、脂肪由来の幹細胞治療と血液由来のPRP治療の2つに分けられます。
それぞれの異なる点について、詳しく解説していきます。
幹細胞治療
幹細胞治療とは、脂肪由来の治療法です。幹細胞のさまざまな細胞に変化する力を活かし、損傷した半月板の修復を図る再生医療の一つです。
自身の体の一部を採取して薬剤を作り、膝関節内に注射します。自身の細胞を培養して注入するため、アレルギーや拒絶反応などのリスクが低く、安全性が高い点がメリットです。
幹細胞治療には多くのメリットがある反面、いくつかのデメリットもあります。
保険が適用されず費用は100〜200万円と高額になるほか、効果には個人差がある点です。半月板を修復する力には個人差があり、得られる効果は症状の度合いにより異なります。
幹細胞治療のデメリットを考慮したうえで、医師と相談しながら検討しましょう。
PRP療法
PRP療法とは、血液由来の治療法です。血液の中にある血小板の自己治癒力を活かして、損傷した半月板の修復を促し、炎症や痛みを抑制する効果が期待できる再生医療の一つです。
幹細胞治療と同様に自身の細胞を注入するため、副作用のリスクが少なく、手術や入院が必要ない点がメリットとして挙げられます。
しかし血小板は、損傷した半月板を完全に再生できる細胞ではありません。
保存療法で効果が見られない方が新たな選択肢として検討したり、再生医療の一つである幹細胞治療と併用したりなどでおこなわれます。PRP療法は半月板損傷の症状を和らげるのみであり、根本的な治療ではないことを把握しましょう。
半月板損傷を治療するための手術
保存療法や再生医療でも効果が見られない場合は、手術をおこないます。半月板損傷の手術には、傷ついた半月板を縫合する半月板縫合術と損傷した部分を切除する半月板切除術の2種類あります。
縫合術と切除術について、詳しく解説していきます。
半月板縫合術
半月板縫合術は、傷ついた半月板を縫い合わせて塞ぐ手術です。縫合術は、自然治癒が期待できる半月板の外側3分の1に損傷が見られる場合に用いられます。
切除術とは異なり半月板を温存でき、変形性膝関節症のリスクを減らせる点がメリットです。そのため近年では、手術療法のなかで縫合術が選ばれるケースが増加しています。
縫合術にはさまざまなメリットがあるものの、回復に時間がかかるほか、再び断裂する可能性があるなどのデメリットも存在します。
半月板切除術
半月板切除術は、半月板の損傷部分を切り取る手術です。半月板の損傷が複雑な場合や、縫合術では治療が難しい場合に用いられます。
また血流がなく、自己治癒が望めない部分が損傷している場合にもおこなわれる手術法です。損傷部分を取り除く切除術は、膝の痛みを早急に緩和でき、回復までの期間が短い点がメリットです。
しかし損傷部分を取り除くことで、膝軟骨に負担がかかりやすくなり、変形性膝関節症のリスクが高まる恐れもあります。そのため切除術ではなく、負担の少ない縫合術を選択するケースが増加しています。
半月板損傷の症状を緩和する方法
保存療法や手術療法以外にも、半月板損傷の症状を緩和させる方法はあります。自宅でおこなえる方法もあるため、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
関節可動域訓練
関節可動域訓練はストレッチとも呼ばれ、関節周りの筋肉や靭帯の緊張を緩め、柔軟性を向上させる方法です。
可動域の拡大により膝が動かしやすくなるほか、痛みの緩和や筋肉増強、血行促進などの効果があります。ストレッチは血行がよい運動や入浴後におこなうことにより、最大限効果を発揮します。
またストレッチをする際は呼吸を止めずにおこない、痛みを強く感じる場合は無理せず中止しましょう。
筋トレ
筋力トレーニングにより膝周りの筋肉を鍛えると、半月板にかかる負担を減らす効果が期待できます。膝周りの筋肉量が増えることで、膝の痛みが軽減されるほか、膝の曲げ伸ばしがスムーズになるなどの効果もあります。
筋力トレーニングは一度に多量おこなうのではなく、毎日地道に続けることが大切です。またトレーニング後に症状が悪化した場合は、すぐに医師の診察を受けましょう。
バランストレーニング
バランストレーニングでは膝のバランス感覚を養い、半月板損傷による不安定感を低減させる効果があります。膝が不安定の場合、怪我につながる可能性もあるため、トレーニングによりバランスを取り戻すことが大切です。
ただしバランストレーニングは、不安定な足場で体勢を崩すと事故を招く恐れがあります。自宅でおこなうことは避け、専門医の指示のもと実施しましょう。
ウォーキング
適度なウォーキングも、膝周りの筋肉を強化させるために効果的な方法です。ウォーキングをおこなうことで体脂肪が減り、膝にかかる負担を軽減できる効果もあります。
しかし、ウォーキングは正しい歩き方をしなければ、症状を悪化させる原因になります。
背筋を伸ばしながら軽くお腹を引き締め、かかとから着地してつま先で地面を蹴るようにして歩くことがポイントです。無理のない範囲でウォーキングし、膝周りの筋肉を強化しましょう。
アスレチックリハビリテーション
アスレチックリハビリテーションとは、膝周りの筋肉が回復し、痛みが緩和されたあとにスポーツに戻る準備をする訓練のことです。主にスポーツ選手が競技復帰するために用いられ、以前と同じレベルになるまでトレーニングします。
アスレチックリハビリテーションは、トレーナーや理学療法士などが適切なメニューを組み、復帰を目指す競技の動作を徐々におこないます。
トレーナーや理学療法士の指示に従い、無理をせずに段階を踏みながらおこなうことが大切です。
半月板損傷に関するよくある質問
半月板損傷に関する質問に回答します。ほかにも疑問を抱いている方は、医師に相談しましょう。
手術してから普通に歩けるようになるまでにはどのくらいの期間がかかりますか?
歩行が可能になるまでの期間は、手術の方法により異なります。半月板切除術の場合は約3~4日、縫合術の場合は約2~3週間です。
切除術は回復までの期間が短い反面、膝のクッションを取り除く手術のため、膝に負荷がかかりやすい状態になる点がデメリットです。
子どもでも半月板を損傷するケースはありますか?
子どもでも半月板を損傷するケースはあります。
子どもの半月板損傷の原因は、生まれつき円形状半月板であることが大半です。円形状半月板とは半月板の形状が異常な状態のことを指し、膝の痛みや引っかかり感などが主な症状です。
子どもが膝の痛みを感じ、曲げ伸ばしができない場合は、円形状半月板が原因で半月板を損傷していると考えましょう。
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まとめ
半月板は自然治癒が難しい組織のため、手術を余儀なくされる場合もあります。
しかし半月板損傷は手術をしないでも、保存療法や再生医療などにより、症状の改善は十分に期待できます。
また日常生活では適度な運動を取り入れ、膝周りの筋肉を鍛えることも大切です。保存療法や再生医療、自助努力などをおこない、半月板損傷の改善を期待しましょう。
※本記事の情報は2023年4月時点のものです。
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<参考>
森整形外科リハビリクリニック