変形性膝関節症は膝関節の軟骨が擦り減り、痛みや晴れを起こす症状です。
日本国内では40歳以上で膝の痛みに悩んでいる方は推定800万人にのぼり、その大半が変形性膝関節症といわれています。
変形性膝関節症を改善するうえで、正しい知識に基づいた運動療法は効果的です。しかし誤った方法で膝に過度な負担をかけると症状が悪化する恐れがあるため、注意が必要です。
本記事では変形性膝関節症の主な原因や症状を解説したうえで、変形性膝関節症の方がしてはいけない運動や動作を紹介します。
変形性膝関節症の方が避けるべき職種や、おすすめの運動方法も解説するのでぜひ参考にしてください。
そもそも変形性膝関節症とは
摩耗変形性膝関節症は膝関節の軟骨の摩耗や損傷により、痛みや晴れを引き起こす症状です。とくに女性に多く見られる症状で、高齢になるほど罹患率が高くなるといわれています。
変形性膝関節症の代表的な症状は次の5つです。
- 膝の腫れ
- 膝の横揺れ
- 膝の変形
- 膝が伸ばせない
- 階段昇降時の痛み
膝の痛みで悩んでいる方は、自身の症状が当てはまっているかチェックしてみてください。
膝の腫れ
変形性膝関節症の主な症状に、膝の腫れが挙げられます。変形性膝関節症は加齢や素因によって膝関節の軟骨がすり減ったり、体重増加によって膝に過度な負担がかかったりすると発症します。
膝への負担によって関節内部が炎症を引き起こすため、膝が腫れて熱を持つことが特徴です。炎症が強い場合は膝関節内に水が溜まるケースもあり、激しい痛みを伴います。
膝の横揺れ
変形性膝関節症を発症すると、膝の横揺れを起こしやすくなります。膝の横揺れはいわゆるガニ股のような歩き方を指す用語で、側方動揺性やラテラルスラストと呼ばれるケースもあります。
変形性膝関節症は男性に比べて、中殿筋の筋力が弱い女性に多く見られる症状です。中殿筋が弱い方の場合、脚全体に横揺れの外力が働きやすくなり、膝に負担がかかってしまいます。
結果として、膝軟骨の摩耗や損傷を早め、変形性膝関節症が進行します。
膝の変形
変形性膝関節症で多く見られるのは、関節軟骨がすり減って関節内部に炎症を起こした結果、膝が変形するケースです。変形性膝関節症が進行すると、膝軟骨の下部にある骨が硬化したり、関節の隙間が狭まったりします。
次第に骨棘(こつきょく)と呼ばれるとげ状の骨ができたり、骨の中に空洞ができたりします。結果として、膝関節が徐々に変形する症状が変形性膝関節症です。
膝が伸ばせない
変形性膝関節症を罹患すると、痛みで膝が伸ばせなくなるケースが多く見られます。膝が伸ばせない、あるいは曲げられない症状は可動域制限と呼ばれ、とくに変形性膝関節症がある程度進行した方に多い症状です。
膝が伸ばせなくなる主な痛みは、炎症による動作時痛です。動作時痛を避けるあまり運動不足になると、筋肉や関節が硬くなり、さらに膝が伸ばせなくなる悪循環が発生します。
足を伸ばしたり曲げたりできない方は、変形性膝関節症の進行が疑われます。
階段昇降時の痛み
可動域制限と並んで、階段昇降時に膝が痛むことも変形性膝関節症の中期症状です。変形性膝関節症の主な初期症状には、膝を伸ばしたり曲げたりする際に生じる動作時痛が挙げられます。
変形性膝関節症が進行すると動作時痛の頻度が増え、階段の昇り降りや正座などの動作も困難になります。変形性膝関節症は悪化すると、日常生活に大きな支障をきたす症状です。
変形性膝関節症の方がしてはいけない運動
変形性膝関節症を罹患した方は、日常生活で膝に過度な負担をかけないように注意が必要です。
とくに変形性膝関節症の方がしてはいけない運動には、次のような例が挙げられます。
- 過度な運動
- 急な動き・停止の運動
- 膝に負荷がかかる運動
- スクワット
変形性膝関節症の方がしてはいけない運動について、詳しく解説します。
過度な運動
変形性膝関節症を罹患した場合、ランニングやスポーツ競技などの過度な運動を避けましょう。膝を酷使する運動は、膝の痛みをかばうあまり無理な走り方をしたり、全身の筋肉バランスが変わったりするリスクがあります。
また、膝の痛みを我慢して運動すると、炎症が悪化して痛みが激しくなる恐れもあります。
急な動き・停止の運動
急に動き始めたり、止まったりする運動も避けましょう。とくに野球やサッカー、テニス、バスケットボールなどの球技スポーツは急な動きや停止が多く、膝に大きな負担がかかるため注意が必要です。
スポーツ以外の日常生活においても、急に走り出す、止まる、切り返すなどの動作は極力控える必要があります。
膝に負荷がかかる運動
膝に大きな負荷がかかる運動は、変形性膝関節症の大敵です。具体的には、正座をする、和式トイレを使う、敷布団で寝るなどの動作が該当します。
上記は膝を深く曲げる動作を伴うため、膝の関節や軟骨に大きな負担がかかります。変形性膝関節症の方は痛みを伴ったり、炎症が悪化したりする恐れがあるため、膝に負荷がかかる動作は避けましょう。
スクワット
スクワットは膝に負担がかかりやすい運動の代表例です。変形性膝関節症の運動療法では、スクワットを取り入れるケースが少なくありません。
しかし間違ったやり方でスクワットをすると、膝に負担がかかってしまい逆効果になります。間違ったやり方の事例として、膝を深く曲げすぎる、内股の状態でおこなうなどがあります。
運動療法の一環としてスクワットを取り入れる場合は、必ず専門医の指示を仰ぎましょう。
変形性膝関節症の方がしてはいけない動作
変形性膝関節症の方は運動やスポーツのほか、日常生活において次のような動作を避ける必要があります。
- 立ちっぱなし
- 重い荷物を運ぶ
- 屈伸運動
- 長い間動かない
変形性膝関節症の方がしてはいけない動作について詳しく解説します。
立ちっぱなし
長時間立ちっぱなしでいると、膝に負担がかかり、変形性膝関節症が悪化しやすくなります。
とくに店員や美容師などの接客業に従事している方は、数時間ずっと立ちっぱなしを強いられるケースが多く、膝への負担がかかりやすいため注意が必要です。
仕事でどうしても長時間立っていなければならない場合は、定期的に座って休憩をとる、足が疲れないシューズやインソールを選ぶなど工夫しましょう。
重い荷物を運ぶ
重い荷物を上げ下げする動作は、膝に強い負担をかけます。荷物を抱えたまま歩いたり、階段を昇り降りしたりすると、さらに膝を酷使してしまいます。
変形性膝関節症の方が重い荷物を持ち運ぶ際は、入念に準備運動する、膝にサポーターを装着する、階段昇降時は手すりを使うなど工夫が必要です。
屈伸運動
屈伸運動は膝のストレッチに有効ですが、誤った動かし方で繰り返し屈伸すると膝に負担がかかります。
屈伸運動をしているつもりがなくても、床に正座する際、布団に出入りする際など、日常生活のさまざまな場面で屈伸運動を繰り返しています。
変形性膝関節症の進行を遅らせるためには、意識して屈伸運動を避けるよう注意しておきましょう。
長い間動かない
長時間動かずにじっとしていると、変形性膝関節症の進行を早めてしまいます。変形性膝関節症に罹患すると、膝の動作時痛を避けるあまり運動不足に陥りがちです。
運動量が減ると、次第に膝の関節や軟骨が硬くなり、膝の可動域がますます制限されます。結果として、膝が伸ばせなくなり、変形性膝関節症が進む負のサイクルに陥ってしまいます。
変形性膝関節症の方は専門医に相談のうえ、正しいやり方で適度な運動を心がけましょう。
変形性膝関節症の方が避けた方がよい職種
変形性膝関節症の方がとくに避けた方がよい職種は次のとおりです。
- 運送業
- 建築業
- 営業
- サービス業
それぞれの職種の特徴や避けた方がよい理由について解説します。
運送業
引っ越しや配送の仕事は、荷上げや荷下ろし、重たい荷物の運搬などの作業を伴います。上記の作業は膝に大きな負担をかけるため、変形性膝関節症の方におすすめはできません。
すでに運送業に従事している変形性膝関節症の方は、次の対策をおこないましょう。
- 階段昇降時はできる限り手すりを掴む
- 仕事中は膝サポーターを着用する
- 作業の前後にかならずストレッチをする
対策を取ることで、膝への負担を軽減できます。
建築業
大工や鳶などの建設業は、常に立ったり座ったりを繰り返す必要があります。また建材や重たい道具を持ち運んだり、高所作業時は階段の昇り降りしたりなど、膝を酷使する作業の多い仕事です。
変形性膝関節症を罹患した方で、どうしても建築業に携わらなければならない場合は、定期的に脚を休める、ストレッチするなど工夫しましょう。クッション性の高い仕事用シューズや膝サポーターの使用もおすすめです。
営業
外回りの営業職は歩く時間が多いため、膝への負担がかかりやすい職種です。とくに女性のヒールは安定性が低く足が疲れやすいため、変形性膝関節症の方は注意が必要です。
営業職の方は仕事用シューズを選ぶ際に、足全体が包み込まれて疲れにくい靴を選びましょう。また靴のインソールも衝撃を緩和するタイプのものに買い換えると、より膝への負担を抑えられます。
サービス業
お店のスタッフや美容師などのサービス業は、一日中立ったままになりやすいため膝への負担が大きい職業です。
とくに立ち姿勢が内股の方は、股関節を捻る動きによって膝への負担がさらに大きくなります。変形性膝関節症の方は、可能であれば椅子を使う、定期的に座って休憩するなど工夫しましょう。
仕事中に座って休憩を取ることが困難な場合は、こまめに屈伸する、足踏みするなどして脚を動かすと膝への負担を和らげられます。
変形性膝関節症の方におすすめの運動
変形性膝関節症の改善には、適度な運動が効果的です。正しいやり方に基づいて運動すれば、膝周辺の筋肉を強化し、膝関節にかかる負担を軽減できます。
変形性膝関節症の方におすすめの運動は次の6つです。
- ストレッチ
- ウォーキング
- エアロバイク
- 大腿四頭筋を鍛える運動
- 中殿筋を鍛える運動
- 足底筋を鍛える運動
それぞれの運動方法を紹介します。
ストレッチ
ストレッチは膝関節を柔らかくして、膝の可動域を広げるうえで非常に役立ちます。膝の筋肉を伸ばすストレッチの手順は次のとおりです。
- あおむけに寝て、片脚の太ももの裏を両手で抱える
- 痛みが出ない程度に、抱えた脚を胸の方に寄せる
※手は添える程度で、脚の力で引き上げる - 1~2の動きを10回繰り返し、反対の脚も同様にストレッチする
※1日3セットを目安におこなう
ウォーキング
ウォーキングは年齢や運動経験を問わず、誰でも簡単に実践できる運動です。変形性膝関節症の方は、無理のない範囲でウォーキングの習慣化をおすすめします。
膝に負担をかけないウォーキング方法は次のとおりです。
- 背筋を伸ばして、腹筋を意識しながら歩く
- あごを引いて、視線は5mほど先に向ける
- 足を着地するとき、膝が軽く曲がる程度の歩幅を意識する
- 足を着地するときは踵から、次に親指の付け根に体重を移し、最後はつま先で大地を蹴る
- 腕は足の動きに合わせて軽く振り、首は揺らさずに前を向いて歩く
エアロバイク
エアロバイクは室内でおこなえるため、天候に左右されず習慣化しやすい運動です。さらにエアロバイクは膝に負担がかかりにくく、お尻や太ももの筋肉を動かせるためダイエットにも効果的です。
ダイエットで体重が減ると、日常生活で膝にかかる負担が軽減されるため、変形性膝関節症の改善につながります。
大腿四頭筋を鍛える運動
大腿四頭筋は膝を支える筋肉で、変形性膝関節症を改善するうえで非常に重要です。大腿四頭筋は簡単に鍛えられるため、隙間時間にトレーニングをしてみましょう。
大腿四頭筋を鍛える運動の手順は次のとおりです。
- あおむけに寝て、片方の膝を直角以上に曲げる
- 伸ばした脚を床から10cmほど持ち上げた状態で5秒間キープする
- 持ち上げた脚を床に戻し、3秒ほど休む
- 2~3の動きを10回繰り返し、反対の脚も同様にトレーニングする
※1日3セットを目安におこなう
中殿筋を鍛える運動
中殿筋は骨盤の横にある筋肉で、歩行時に骨盤を安定させる役割を持ちます。中殿筋を鍛えると歩行時に骨盤が安定しやすくなり、膝にかかる負担が軽減できます。
中殿筋を鍛える運動の手順は次のとおりです。
- 横向きに寝転がり、下側の脚を軽く曲げてバランスを取る
- 伸ばした上側の脚を上に持ち上げて5秒間キープし、ゆっくり床に戻す
- 2の動きを10回繰り返し、反対の脚も同様にトレーニングする
※1日に3セットを目安におこなう
足底筋を鍛える運動
足底筋は足の裏の筋肉で、土踏まずの形を形成します。足底筋を鍛えると土踏まずのアーチが維持され、歩行時や立位時にバランスを取りやすくなるため膝関節への負担が軽減されます。
足底筋を鍛える運動の手順は次のとおりです。
- 膝を直角に曲げて椅子に座り、足の下にタオルを敷く
- 足の指を使って、タオルを手前にたぐり寄せる
- 2の動作を5回繰り返し、反対の足も同様にトレーニングする
※1日3セットを目安におこなう
変形性膝関節症に関するよくある質問
変形性膝関節症に関して、よく寄せられる質問を一問一答形式でまとめました。
- 正座をしても大丈夫ですか?
- 痛みが引いたら完治している?
- 市販の痛み止めでも効果はある?
疑問点や不安を抱いている方は、ぜひ参考にしてください。
正座をしても大丈夫ですか?
正座の姿勢は膝に大きな負担がかかるため、変形性膝関節症の方におすすめはできません。一般的に変形性膝関節症の方が座る際は、椅子を利用するように推奨されます。
変形性膝関節症と診断された方は、日頃の座り方について担当医の指示を仰ぎましょう。
痛みが引いたら完治している?
一度発症した変形性膝関節症を原因から根本的に治す方法はありません。そのため痛みが消えても完治しているとはいえないでしょう。
変形性膝関節症の原因は、膝関節の軟骨が摩耗もしくは損傷することで起こる炎症です。軟骨には血管が通っていないため、一度損傷すると自然に治癒する方法はありません。
痛みが引いたあとも膝周りのストレッチやトレーニング、膝への負担を減らす工夫を続けることで、変形性膝関節症の再発を予防できます。
市販の痛み止めでも効果はある?
市販薬の種類によっては、変形性膝関節症に対して効果を得られる可能性があります。変形性膝関節症の痛みに効果的とされている痛み止めは、次の2種類です。
- アセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)
- NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
アセトアミノフェンの代表的な市販薬は、バファリンやルルなどがあります。NSAIDsはロキソニンやEVEなどが有名です。
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まとめ
変形性膝関節症の原因や症状について詳しく解説しました。さらに変形性膝関節症の方がしてはいけない運動や動作、避けた方がよい職種、おすすめの運動方法もあわせて紹介しました。
変形性膝関節症は歳を重ねるごとに罹患率が高くなる疾患で、放置しておくと日常生活に支障をきたす恐れがあります。
変形性膝関節症を予防したり進行を遅らせたりするためには、日頃から膝に負担をかけない歩き方や立ち方を意識する必要があります。
膝の痛みに悩んでいる方はぜひ本記事の内容を参考にしながら、正しいやり方でストレッチやトレーニングを続けましょう。
※本記事の情報は2023年3月時点のものです。
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