腱鞘炎は、指や手首の腱鞘が炎症をおこして、痛みや腫れが現れる疾患です。
初期段階であれば安静に過ごすことで改善が期待できますが、生活習慣や間違った治療法で繰り返し発症する場合もあります。そのため、痛みが生活の支障となり、どうすればよいか悩んでいる方も多いでしょう。
そこで本記事では、腱鞘炎の原因やチェック方法、治らないときの対策について解説します。簡単なセルフケアについてもあわせて紹介しているため、腱鞘に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
腱鞘炎(けんしょうえん)とは?
腱鞘炎(けんしょうえん)とは、手首や指にある骨と筋肉をつなぐ腱と、腱の動きをスムーズにする筒状の腱鞘に炎症が起こる疾患です。
初期症状は、違和感がある程度で、次第に痛みや腫れ、熱感などがあらわれます。
また、腱鞘は腱を包むような形状をしており、組織の腫れが悪化し、指や手首を動かしにくくなると、手術の検討も必要です。
症状が解消されても、頻回に発症を繰り返す場合もあり、その際にも手術が検討されます。ただし、初期段階であれば外用薬や内服薬のみで改善が期待できるため、早めの対策が重要です。
腱鞘炎の主な原因
腱鞘炎になる主な原因は、次のとおりです。
- スポーツ
- 長時間の手首の使用
- 女性ホルモンの変化
- 糖尿病や関節リウマチなどの病気
とくに、手首や指をよく使用するスポーツや仕事をしている方は、腱や腱鞘に炎症が起こるリスクがあります。
また、無意識にスマートフォンやパソコンの長時間使用が習慣化して、腱鞘炎を発症する方も増えています。自覚がある方は腱鞘炎を悪化させないためにも、定期的に休憩をとり、手首や指を休めるようにしましょう。
手に負担をかけていないのに痛みを感じる場合は、女性ホルモンの変化や糖尿病、関節リウマチなどの病気により腱鞘炎を発症している可能性があります。
そのため、更年期や妊娠中、他の持病がある方はかかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。
腱鞘炎の種類と症状
腱鞘炎には、ドケルバン病とばね指の2種類があります。それぞれ炎症のある場所や症状が異なります。自身がどちらを発症しているかは、セルフケアや治療をするうえでも見分けておきたいポイントです。
それぞれの症状について詳しく解説するので、自身がどちらに当てはまるか確認してみてください。
ドケルバン病
ドケルバン病は、親指側の手首にある腱や腱鞘が炎症を起こす疾患です。特徴としては、親指側の手首に痛みや突っ張るような感覚があります。
とくに、親指をよく使用する方が発症しやすく、物をつかむ、タオルを絞るなどの日常的な動作でも痛みを感じるようになります。
ばね指
ばね指は、指にある腱や腱鞘が炎症を起こす疾患です。指を伸ばしたり曲げたりする動作に関わる腱と腱鞘に炎症が起こり、痛みや腫れ、熱感、動かしにくさなどを引き起こします。
また、腫れた腱鞘と腱が引っかかり、指を曲げ伸ばしする際に、バネのように弾けるような解放感があるのも大きな特徴です。
とくに、親指や中指、薬指での発症が多く、悪化すると指が動かなくなる場合もあります。
腱鞘炎のチェック方法
腱鞘炎を発症しているのかどうかは、セルフチェックで確認が可能です。
そこで次では、腱鞘炎のセルフチェック方法をドケルバン病とばね指に分けて解説します。その場で簡単にできる方法なため、まだクリニックを受診していない方はぜひ参考にしてみてください。
ドケルバン病のチェック方法
ドケルバン病のチェック方法は、次の2とおりです。
フィンケルシュタインテスト
- 親指が天井側になるように手を前に出し、親指を手のひら側に折る
- 手のひら側に折った親指を、反対の手で掴んで小指側に引っ張る
母指側の手首に痛みがある方はドケルバン病の可能性があります。
アイヒホッフテスト
- 親指が天井側になるように手を前に出し、親指を包むように手を握る
- そのまま小指の方へ手首を傾ける
親指側の手首に痛みがある場合は、ドケルバン病の可能性があります。
上記のチェック方法でドケルバン病の疑いがある方は、早めにクリニックを受診しましょう。
ばね指のチェック方法
ばね指のチェックは次のとおりです。
- 手のひら側の指の付け根を反対の手で軽く押す
- そのまま指を曲げたり伸ばしたりする
その際に、動かしづらさや、指が弾けるような解放感、痛みがある方はバネ指である可能性が高いといえます。
また、次のチェック項目に当てはまる方もばね指の疑いがあります。
- 指が曲がったまま戻らないことがある
- 指を曲げ伸しする際にカクカクする
- 指の付け根に痛みや腫れ、熱感がある
- 起床時に指のこわばりや動かしにくさがある
ばね指とドケルバン病を併発する場合もあるため、セルフチェックで引っかかった方は早めにクリニックを受診しましょう。
腱鞘炎解消に効果的なセルフケア
腱鞘炎は、初期段階であればセルフケアで解消できる場合があります。
そこで次では、腱鞘炎解消に効果的な次のセルフケアについて詳しく解説します。
- 安静
- ストレッチ
- ツボ押し
- テーピング・サポーター
- 市販薬
症状が軽く、まだクリニックを受診していない方は、セルフケアから初めてみるとよいでしょう。
安静
腱鞘炎を改善させるためには、患部を安静に保つ必要があります。腱や腱鞘は再生能力がないとされており、治療においても炎症がおさまるのを安静にして待ちます。
そのため、まずはできる限り痛みのある手首や指を使用せず、安静に過ごすように気を配りましょう。仕事や家事などでどうしても安静にできない方は、早めにクリニックを受診して医師に相談してみてください。
ストレッチ
腱鞘炎の解消には、次のストレッチも効果的です。
指のストレッチ
- 手のひらを机につける
- 反対の手で指を1本ずつ気持ちよい程度に反らす
- それぞれ10秒ずつを3セットおこなう
手首のストレッチ
- 手のひらを机につけて、指先が上を向くように手首を曲げる
- 反対の手で指先を掴む
- 気持ちよい程度にさらに手首を反らし、10秒キープする
手を長時間使用する際は、1時間に1回程度の頻度で休憩をとり、上記のストレッチをおこないましょう。腱鞘炎の予防にもつながるため、ぜひ取り組んでみてください。
ツボ押し
腱鞘炎の解消には、ツボ押しも効果的です。腱鞘炎の痛みの緩和に効果的なツボはいくつかありますが、代表的なものは次のとおりです。
陽谿(ようけい)
親指を反らした際にできる手首の窪みにあるツボです。五十肩や腕全体の痛み緩和にも効果的です。
大陵(だいりょう)
手のひら側の手首の真ん中にあるツボです。心痛や動悸、腹痛の緩和にも効果が期待できます。
それぞれ、気持ちよい程度に3〜7秒かけてゆっくり押します。いつでも簡単にできるため、1日4〜5回を目安に、気が向いた際におこないましょう。
テーピング・サポーター
テーピングや手首用のサポーターは、指や手首を固定するアイテムです。患部の動きを抑えられるため、炎症がおさまるのをサポートできます。
痛みが気になる方はもちろん、仕事や家事で手首を動かすことが多い方にもおすすめです。テーピングとサポーターはドラッグストアや薬局で購入できるため、気になる方は近くのお店で探してみるとよいでしょう。
ここからは、親指の根元が痛む場合のテーピング方法を解説します。
- テープを次の長さで3本カットする
A.5cm幅で親指の第1関節から手首まで
B.5cm幅で手首1周分
C.2.5cm幅で親指1周分の長さ - 親指を軽く曲げ、Aのテープを爪の根本あたりから手首まで軽く引っ張りながら貼ります
- BのテープをAのテープの上から手首を一周するように軽く引っ張りながら貼る
- Cのテープを親指の爪の根本あたりを1周するように巻く
ほかにもテーピングの方法はあるため、痛む箇所にあわせてテービングしてみてください。
市販薬
腱鞘炎の痛みが気になる場合は、市販の外用鎮痛消炎薬を使用するのもおすすめです。
外用鎮痛消炎薬には、次のような種類があります。
- テープ剤
- 湿布剤
- ローション剤
- クリーム剤
- ゲル剤
関節や手首など、動かす部位にはテープ剤がおすすめです。
また、痛みや熱感が気になる場合は、水分量が多く冷感を与える湿布剤が適しています。指先には、剥がれる心配のない塗るタイプのローション剤、クリーム剤、ゲル剤がよいでしょう。
上記の外用鎮痛消炎薬は薬局やドラッグストアで購入できます。どの市販薬を選べばよいか悩んでしまう方は、薬局のスタッフに相談してみてください。
セルフケアで腱鞘炎が治らない場合は病院へ
ここまで腱鞘炎のセルフケアについて紹介しましたが、それでも症状がおさまらない方はクリニックの受診をおすすめします。
症状が進行している方や、どうしても手を使用しなくてはいけない方は、セルフケアのみでは改善できない場合があります。
そのため、セルフケアを続けても改善しない、痛みが強くなる方は早めに専門医に相談しましょう。次では、腱鞘炎の診療をおこなう科目や、検査・治療方法について詳しく解説します。
腱鞘炎の診察は整形外科か手外科へ
腱鞘炎の診察は、整形外科か手外科で受けましょう。手外科は、腱鞘炎や骨折、関節リウマチなど、手に関わるさまざまな疾患を専門的に治療している科目です。
専門的な治療を受けられるうえ、腱鞘炎以外の疾患が隠れている場合も適切な処置が可能です。そのため、クリニックを探す際は、手外科を優先的にチェックしてみるとよいでしょう。
腱鞘炎の検査と診断方法
腱鞘炎の診察は、はじめに問診と触診、視診をおこない、痛みや腫れ、症状がある部位を確認します。
また、セルフチェックでも紹介した、フィンケルシュタインテストをおこなうクリニックも少なくありません。その後、必要に応じてレントゲンやMRI、超音波検査などもおこない、最終的な診断をくだします。
腱鞘炎以外の疾患が隠れている可能性もあるため、専門的な検査をおこなうクリニックを選ぶとよいでしょう。
腱鞘炎の治療方法
腱鞘炎の治療方法は、安静と炎症を抑える外用薬、痛みを抑える内服薬の処方が一般的です。あわせてセルフケアにも取り組むことで、効率的に改善が期待できます。
ただし、症状が進行している方は、ステロイド注射や手術が必要になる場合もあります。2つの治療方法について詳しく解説するので、治療に関して不安がある方は事前にチェックしておきましょう。
ステロイド注射
ステロイド注射は、炎症を抑える作用のあるステロイドを腱鞘内にステロイドを注射する治療法です。治療後2〜3週間ほどで痛みが引いていき、3か月〜半年程度効果が続くと考えられます。
ステロイドによる治療は、ばね指で70〜80%、ドケルバン病で70〜90%の有効率があるという結果があります。手術に比べると体にかかる負担も抑えられるため、仕事や学校に通いながらの治療が可能です。
ただし、ステロイドは血糖値を上昇させる可能性があり、糖尿病患者は受けられません。
手術
腱鞘炎の手術は、重症度が高い方や、他の治療で改善がみられない方におこなわれます。また、何度も腱鞘炎を繰り返す患者にも適応となります。
具体的な手術の流れは次のとおりです。
- 局所麻酔をかける
- 皮膚を1cm程度切開する
- 腫れて厚くなった腱鞘を切り開く
- 腱がスムーズに動くことを確認し縫合する
手術は10〜20分程度で終了し、日帰りも可能です。また、切り口も小さく目立ちにくいため、傷が気になる女性も受けやすいでしょう。
手術直後から手を動かせ、少しずつ指や手首の動きがスムーズになり、生活も快適になります。
ただし、指の関節が伸びにくくなる、新たな痛みが出るなどのリスクや副作用もあるため、手術前にはデメリットに関しても確認しておきましょう。
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シン整形外科の腱鞘炎の治療は、以下の理由でおすすめです。
・専門的な知識と経験
・一連の症例への対応
・最新の医療技術の利用
・患者中心のアプローチ
・継続的なケアとフォローアップ
専門的な知識と経験
シン整形外科が腱鞘炎の治療におすすめな理由として、その専門的な知識と経験が挙げられます。整形外科は骨や関節の疾患に特化した分野であり、シン整形外科は関節の異常や障害に対する専門的なアプローチをしています。
一連の症例への対応
シン整形外科が腱鞘炎の治療におすすめされる理由として、様々な関節の症状や疾患に対応できることが挙げられます。関節炎、捻挫、骨折など、指にはさまざまな問題があり、その一連の症例に対して適切な治療を提供しています。
最新の医療技術の利用
シン整形外科は最新の画像診断技術や手術技術を積極的に取り入れており、より精確な診断と効果的な治療を提供しています。
患者中心のアプローチ
シン整形外科は患者のニーズや状態に合わせた個別の治療計画を提供しています。関節の症状は個人差が大きいため、患者中心のアプローチが効果的な治療が求められます。
継続的なケアとフォローアップ
腱鞘炎の治療は手術後のリハビリテーションやフォローアップが重要です。シン整形外科は継続的なケアとフォローアップを提供しており、患者の回復をサポートしています。
まとめ
腱鞘炎は手首や指に、痛みを引き起こす厄介な病気ですが、初期段階であれば次のようなセルフケアで改善が期待できます。
- 安静
- ストレッチ
- ツボ押し
- テーピング・サポーター
- 市販薬
ただし、症状が進んでいる場合や生活習慣により、専門医のサポートが必要になるため、早めにクリニックを受診するのもおすすめです。
腱鞘炎の診療は、整形外科もしくは手外科で受けられるため、痛みが強い方や早く治したい方はぜひ相談してみてください。