肩に痛みを感じたり肩がうまく動かせなくなったりする代表的な疾患に、四十肩と五十肩があります。
四十肩や五十肩になると、肩に痛みを感じるのみでなく肩の可動域が狭まり、これまで問題なくできていた動作がうまくできなくなるでしょう。
今回の記事では四十肩と五十肩の違いとともに、治療方法や診断方法について詳しくまとめました。
肩の違和感に悩んでいるのなら、ぜひ参考にしてみてください。
【結論】四十肩と五十肩の特徴的な違いはない!
四十肩と五十肩の正式名称は肩関節周囲炎であり、両者は同じ疾患のことを指しています。
40代で症状が出れば四十肩、50代で症状が出れば五十肩と呼ばれますが、それぞれの症状や治療方法に違いはありません。
四十肩と五十肩は正式名称ではないものの、一般的な俗称として知れ渡っているため、医師が患者に疾患名を伝える際にも使用されています。
四十肩と五十肩の原因はいくつか考えられており、原因の特定が難しい場合もあるでしょう。
具体的には、肩の過度な使用や反復動作、姿勢の悪化、血行不良による肩の組織の損傷、免疫系の過剰反応などにより、肩の関節にある腱板が炎症を起こして関節包に広がります。
関節包の炎症を放置すると次第に癒着が起こり、強い痛みや可動域を狭くするなどの症状につながるでしょう。
四十肩と五十肩の症状は患部の痛みが強い急性期と肩の可動域が制限される慢性期、不快な症状が和らいでいく回復期の3段階に分かれます。
また、四十肩と五十肩に似た肩のトラブルに肩こりが存在しますが、肩こりは炎症ではなく筋肉疲労で起こります。肩こりの原因は姿勢の悪さやストレス、運動不足などです。具体的な肩こりの症状には、肩の張りやだるさ、痛みがあります。
一般的には、肩こりよりも四十肩と五十肩の方が強い痛みが出やすいものの、判断が難しいときにはクリニックに相談してみてください。
四十肩や五十肩を肩こりと勘違いして強くマッサージすると、炎症が悪化する可能性があります。
四十肩・五十肩の症状
四十肩と五十肩の典型的な症状についてまとめました。自身の肩の違和感が該当するか考えてみてください。
症状には個人差があることから、痛みをあまり感じないまま肩が動かしにくくなったり、肩の動かしにくさはないものの痛みが長引いたりする場合もあります。
炎症が強い
四十肩と五十肩では、肩に強い炎症が発生して痛みを感じます。
炎症と痛みが起こるのは初期症状であり、進行とともに痛みは和らいでいくでしょう。
また、痛みの強さと継続期間は人によって異なります。なかには何年間も強い肩の痛みに悩んでいる方や、痛みはすぐ治るものの可動域が極端に減少する方などがいます。
肩の動きが悪い
四十肩と五十肩の原因である炎症が治り、痛みが和らぐ頃には関節が硬くなる拘縮が起こります。
肩の痛みが強くて肩を動かしにくい時期が急性期に該当し、痛みは少ないものの肩の可動域が狭くなる段階が慢性期です。
腕を持ち上げる動作や腕を外側に回す動作が難しくなる場合が多く、日常生活に不便を感じる方もいます。
具体的には、次のような動作が難しくなる可能性があります。
- 電車で吊り革をつかむ
- 洗濯物を干す
- エプロンの紐を結ぶ
- 髪の毛を後ろに束ねる
- 歯を磨く
- シャンプーをする
肩の可動域が狭くなるほど、自身でおこなえる動作が限られるでしょう。
夜に肩が痛む
日中はさほど痛みを感じないにもかかわらず、夜になると肩の痛みが強くなる方もいます。
夜間に四十肩と五十肩の痛みが強くなる原因は、肩関節中の圧の上昇や腕の重さが関節の筋肉を引っ張ることだと考えられています。
睡眠不足によるストレスは別の疾患を招く可能性があるため、眠るときの姿勢を工夫して痛みを和らげることが大切です。
就寝時の姿勢を変えるのみで夜間の痛みが和らぐ可能性があります。
ただし、いくつかの姿勢を試しても眠れないほど痛むようなときには、クリニックで痛み止めや炎症を和らげる治療を処方してもらうべきでしょう。
四十肩・五十肩の治療法
四十肩と五十肩の代表的な治療方法は次のとおりです。自身の症状に適した治療が選べるようにしてください。
ほかの疾患である可能性も考えると、クリニックを受診して医師の診断のもとで長期的な治療方針を決めるべきです。
安静
四十肩と五十肩の初期段階では、一定期間安静に過ごして炎症を治めれば、症状が改善する可能性があります。
そのため肩に違和感や痛みが現れたときには、まず安静に過ごしてみてください。必要であれば、テーピングやサポーターを活用して患部を動かしすぎないようにします。
ただし、テーピングやサポーターの使用方法を誤ると、症状を悪化させる可能性があることから医師の指導に従うことが大切です。
痛みが和らいできた段階での無理な動きは控えましょう。
薬物療法
四十肩や五十肩の症状が強い場合や、安静に過ごしても改善がみられないときには、クリニックで薬物療法を進めます。
代表的な薬物療法には、内服薬と注射薬があります。ここでは両方の治療方法についてまとめました。
四十肩と五十肩には市販の薬剤も使用可能ですが、医師の診断を受けたうえで適切な治療を進めることをおすすめします。
内服
痛みが激しく、日常生活に支障をきたしている際には、痛み止めの麻酔薬や炎症を抑えるステロイド剤が用いられます。
痛みや炎症が軽減されれば、症状を少しずつ緩和できます。
注射
クリニックでは、肩の動きをサポートするヒアルロン酸が患部に注射される場合もあります。
ヒアルロン酸注射では、エコーガイドをして炎症部分に正確に薬剤を注入します。
患部の炎症はヒアルロン酸注射で少しずつ抑えられますが、根本治療を成功させるためには月に1度のスパンで合計2〜3回程度の治療が必要です。
リハビリテーション
四十肩と五十肩の症状で肩の可動域が制限されたときには、運動療法としてリハビリテーションを実施する場合もあります。
ストレッチや振り子運動が代表的な運動療法で、時間をかけて少しずつ肩関節の緊張をほぐします。
運動療法は、四十肩と五十肩の治療のみでなく予防策としても有効です。
運動療法の情報はインターネットでも検索できますが、可能な限りプロの理学療法士からアドバイスを受けることをおすすめします。
誤った動きの運動療法を続けると、症状を悪化させる可能性があるためです。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療は、別名ショックマスターとも呼ばれる治療方法です。
慢性疾患に対して特殊な機器を用いて衝撃波を与え、炎症反応を生じさせて痛み周辺の代謝を活性化させます。
体外衝撃波治療は特定のクリニックで扱われており、5〜10日に1回程度の頻度で実施します。
施術中には多少の痛みがあるものの、経過とともに慢性的な痛みを緩和可能です。体外衝撃波治療は、四十肩や五十肩のほかに慢性疾患の緩和にも役立つ治療方法です。
再生療法
再生療法とは自身の血液を活用した治療方法のことを指しており、四十肩や五十肩の再生療法ではPRP肩関節注射が実施されています。
PRPとは血小板を多く含む血液のことで、人間の体が本来持つ修復力を活用可能です。
具体的には患者から血液を採取して必要な成分を抽出し、症状のある肩に注射して痛みを緩和させたり、症状の進行を抑えたりします。
また再生療法では自身の血液が使用されるため、アレルギーや拒絶反応のリスクが低いことが特徴です。
手術療法
四十肩と五十肩が進行して関節が動かしにくい状態になった場合には、互いに張り付いている関節の袋である関節包を広げるための手術がおこなわれます。
手術では全身麻酔をかけ、メスを使用して関節包の絡まりを丁寧に引き剥がします。
一般的に四十肩と五十肩の治療は保存治療が進められるため、つらい症状が1〜2年以上続き、さらに症状の緩和が見られない場合に手術が提案されるでしょう。
とくにI型糖尿病の患者は保存治療の効果が現れにくいことから、ほかの患者よりも手術が優先されます。
温熱療法
温熱療法では、肩部分を温めて血行をよくする効果で炎症の治癒を促しながら痛みを緩和させます。
クリニックでホットパックや超音波を用いることもありますが、自宅で蒸しタオルや入浴で温めるのも効果的です。
きちんと体を温めて血行をよくすれば、痛みにより硬くなった筋肉もほぐれていくでしょう。
寒冷療法
四十肩と五十肩の炎症が激しく、熱感と痛みがある場合には、炎症を抑える目的で患部を冷やします。
寒冷療法では、冷湿布やアイスパックを活用する場合が大半です。
ただし、患部を長期間冷やしすぎると筋肉が硬くなったり、凍傷を起こしたりする可能性があるため、冷やし方や継続時間に注意する必要があります。
患部の炎症が治ってきたと感じたら、寒冷療法から温熱療法に切り替えましょう。
四十肩・五十肩の診断方法
四十肩と五十肩の診断は、次のような流れで進められます。
はじめてクリニックに行く方は、今後の流れを把握しておいてください。診断方法を知っていれば、安心して診断を受けられるでしょう。
問診
問診では、医師が患者の症状や不調の開始時期を細かく聞き取ります。
気になる点やほかの不調も感じている場合には、医師に情報を正確に伝えてください。
痛みの原因となる動作が推測可能な方は、原因についても細かく説明しましょう。
視診
医師は患者からの聞き取りをもとに、具体的に肩がどのような角度になると痛むのか、現段階の可動域などを実際に確認します。
視診中の痛みは我慢ぜずに、痛みの強さも含めて詳しく説明します。
画像所見
問診と視診が済んだあとには、画像を活用してより詳しく肩の状態を確認します。
画像所見の方法には、レントゲン検査やMRI検査、関節造影検査、超音波検査などがあります。
それぞれの検査で見つけられる疾患の内容が変わるため、検査内容を自身で選択可能な場合はいくつかの検査を受けてみてください。
レントゲン検査
四十肩と五十肩のレントゲン検査では、ほかの疾患の可能性の有無を確認します。
自身の不調が四十肩や五十肩と間違えやすい疾患である石灰沈着性腱板炎だった場合には、異なる治療方法を選択しなければいけません。
レントゲンでは、肩のインナーマッスルの筋に石灰の沈着がないか調べます。
MRI検査
レントゲン検査は骨や石灰化を確認可能ですが、軟骨や筋肉、関節液の溜まり方などの状態はわかりません。
MRI検査をすれば、より肩の中の状態を詳しく確認できます。
軟骨や筋肉に問題がある場合は、四十肩と五十肩とは別の治療方法が求められます。
関節造影検査
関節造影検査では、造影剤を用いて腱板断裂の可能性を調べます。
腱板断裂は四十肩や五十肩と誤解されやすい代表的な疾患の一つであり、放置すると断裂が大きくなり日常生活に支障をきたす恐れがあります。
関節造影検査であれば、腱板断裂を透視可能です。
超音波検査
超音波検査では、超音波を用いて病変を調べます。具体的には、特殊な機器で超音波を体内に送り、臓器や組織から跳ね返ってくる反射波を映像化します。
超音波検査を用いることで、腱板断裂や上腕二頭筋長頭腱炎、片峰下滑液包炎の可能性が確認可能です。
四十肩・五十肩で痛む時の寝方
四十肩と五十肩の痛みが強いときには、痛みで眠りにくくなる恐れがあり、寝不足や睡眠の質の悪化は症状改善の妨げになるでしょう。
ここでは、四十肩と五十肩の痛みを和らげる就寝時に姿勢についてまとめました。
肩が痛くて眠れないと感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
痛む肩の下に枕・タオルを敷き高さを調整する
痛みのある肩に血液が集まる状態を防ぐために、患部に枕やタオルを敷いて高さを調整してみてください。
肩の痛みが楽になる、または肩の負担が少ないと感じる高さで安定させることがポイントです。
痛い方を上にし横向きに寝る
痛みのある方向の肩を下にして眠ると、圧が加わって痛みが増強されるのみでなく、症状の緩和を遅らせる可能性があります。
患部を下にして眠るのは避け、痛みのある肩は上にした状態で横向きになりましょう。
耳と肩の高さを同じにする
枕が高すぎる場合、首や肩周りの筋肉が伸びて痛みが強くなる可能性があります。
反対に枕が低すぎると、首や肩周りの緊張が高まり患部への負担が大きくなります。枕は耳と肩を同じ高さにできるものを使用しましょう。
すぐによい高さの枕が見つからないときには、タオルやクッションを使用して調整してみてください。
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まとめ
四十肩と五十肩は同じ疾患のことを指しており、正式名称は肩関節周炎と呼ばれます。
肩関節周炎は肩の炎症や痛みからはじまりますが、放置すると肩の可動域がされることが特徴です。肩が上がらないような状態になると、日常生活にも支障が現れます。
さらに、肩関節周炎ではなく別の疾患が隠れている可能性も考えると、安静にしてもよくならない肩の違和感や痛みはクリニックに相談するべきです。
クリニックでは、内服薬や注射薬のほかに手術や再生治療などの方法で効果的な治療が進められます。
肩の違和感を放置せず、できる限り早く適切な治療をおこないましょう。