五十肩は50代に多く、痛みや肩が動かしにくくなるなどの症状がみられます。
一般的には経過とともに回復していきますが、中には症状が数か月に渡り続くケースもあるため、クリニックでの治療を検討する方も多いでしょう。
そこで本記事では、五十肩の治療方法や痛みの原因について詳しく解説します。
五十肩を悪化させてしまうNG行為もあわせて紹介するため、早く五十肩を改善したい方はぜひ参考にしてみてください。
五十肩(肩関節周囲炎)の主な症状
五十肩は、とくに原因のない肩の痛みや動かしにくさが現れる症状の俗語で、医学的な正式名称は肩関節周囲炎と呼ばれます。
具体的には、次のような症状がみられます。
- 関節の動きが悪くなる
- 動かすと痛くなる
- 夜中に肩が痛む
- 腕を上げたときの肩の痛み
- 腕が上がらない
- 安静時でも肩が痛む
とくに、夜中や安静時に痛みがある場合は、炎症が悪化している可能性もあるため注意が必要です。
それぞれの症状について解説するので、まだクリニックで五十肩の診断を受けていない方は、自身の症状に当てはまるかチェックしてみてください。
関節の動きが悪くなる
五十肩は関節周囲の組織が炎症を起こし、腫れたり痛んだりするため、関節の動きが悪くなる場合があります。また、痛みを気にして肩を動かさずにいるとより可動域が制限されやすくなります。
日常生活においても、物を取る、背中を洗う、着替えるなどの動作がスムーズにおこなえなくなる可能性もあるでしょう。
動かすと痛くなる
五十肩の初期段階では、動かした際に痛みを感じます。五十肩は肩関節内に炎症が生じており、それが痛みとなって現れます。
とくに発症初期は特定の角度に肩を動かしたときや、一定の動作で痛みを感じ、少しずつ日常生活に支障が出始めるでしょう。
夜中に肩が痛む
五十肩の症状が進むと夜中に肩が痛む場合もあります。夜間痛ともいい、就寝時に炎症を起こしている方の肩を下にして関節周囲の血管や神経が圧迫されることが原因と考えられます。
なかには痛みで目が覚めてしまい、睡眠の質の低下や寝不足に繋がるケースも少なくありません。夜間痛に悩まされる場合は、横を向かないように寝具の角度を調整して、姿勢を正して寝るように対策するとよいでしょう。
腕を上げたときの肩の痛み
五十肩の痛みは、とくに腕を上げたときに強く感じる傾向があります。無理に動かすと症状が悪化する可能性があるため、痛みが強いうちはストレッチや運動は控えるようにしましょう。
腕が上がらない
腕が上がらなくなるのも五十肩の症状の1つです。この頃には強い痛みは改善されますが、肩が拘縮し可動域が制限されます。多くの場合、腕を90度以上あげられなくなり、着替えや高いところにある物を取るなどの些細な動作も困難になります。
安静時でも肩が痛む
五十肩が進行すると、安静時でも肩が痛む場合があります。何もしていないのに痛むのは肩関節内の炎症が強いためです。無理に動かすと、より悪化する可能性があるため注意しましょう。
五十肩(肩関節周囲炎)の治療方法
五十肩(肩関節周囲炎)の治療方法は次のとおりです。
- 安静
- 薬物療法
- リハビリテーション
- 体外衝撃波治療
- 再生療法
- 手術療法
症状によって必要な治療法は異なるため、まずは専門医に相談することが大切です。
それぞれの治療法について詳しく解説するので、これからクリニックの受診を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
安静
進行具合が初期段階の場合、他の治療と並行して安静に過ごすように医師から指導があります。五十肩の3つの病期のうち、痛みが強く現れる間は炎症期と呼ばれ、肩関節内に炎症が生じています。
治療において炎症を抑えることが優先されるため、まずは肩に負担をかけないように安静が必要です。
薬物療法
炎症期には、薬物療法で炎症や痛みを抑える薬物療法もおこなわれます。五十肩の薬物療法では、消炎鎮痛剤を内服薬や注射で投与する方法が一般的です。
消炎鎮痛剤にはさまざまな種類があり、注射で投与する場合は主にステロイドを使用します。ステロイドは消炎作用が高く、強い痛みに効果が期待できますが、何度も使用すると腱を傷めるリスクもあります。
一方、内服薬で使用する非ステロイド系の薬は消炎作用が劣るものの、副作用が強くなく、痛みが長期化している方でも使用しやすい点が特徴です。
ただし、どちらが適しているかは症状によって異なるため、医師とよく相談しましょう。
リハビリテーション
肩の可動域が制限され動かせなくなる拘縮期には、リハビリテーションをおこないます。拘縮期は痛みの強い炎症期のあとにくる病期です。
炎症や痛みは軽減しますが、組織の癒着や長期間肩を動かさずにいたために拘縮し、肩の可動域が制限されます。また、筋力も低下している可能性があるため、リハビリテーションで可動域の制限を改善しつつ筋肉の強化が必要です。
ただし、無理なストレッチや運動は炎症を再発させる可能性があるため、療法士の指導のもとでおこなうようにしましょう。
体外衝撃波治療
体外衝撃波治療とは高エネルギーを照射し、損傷した組織の再生を促す根本的な治療法です。高エネルギーは組織の奥まで届くため、肩関節内にある組織の炎症にも効果が期待できます。
体外衝撃波治療は次の2種類に分けられ、損傷箇所や大きさなどに応じて使いわけます。
- 拡散型体外衝撃波:組織の深部に向けて放射状にエネルギーを照射
- 収束型体外衝撃波:エネルギーを収束させて照射
施術回数は1週間に1回の頻度を目安に、拡散型体外衝撃波は計3〜5回程度、収束型体外衝撃波は計3回程度おこないます。ただし、体外衝撃波治療を採用しているクリニックは少ないため、希望する場合は注意が必要です。
再生療法
再生医療とは、人体が持つ自己修正能力を引き出し、失われた組織の機能を再生する治療です。具体的には、自身の細胞や血液を採取、加工して患部に注射します。
整形外科の分野では、幹細胞や血液に含まれる血小板を素材として使用するケースが多く、加工の方法によっても期待できる効果は異なります。
また、再生医療は体へ負担が少なく日帰りで受けられるため、術後はいつもどおりの生活ができる点も魅力です。とくに、腕を動かせない状態が長期間続いている方や、他の保存療法では改善が見込めない方にぴったりでしょう。
手術療法
五十肩が重症化している場合には、炎症や癒着のある組織を切開する手術療法も検討されます。手術療法にはいくつか種類があり、内視鏡を使用する肩関節鏡視下手術や、メスで患部を開く直視下手術などが代表的です。
とくに、炎症が強い方や、腕を動かせない状態が長く続いている方は保存的治療では改善が見込めない可能性があります。具体的な手術方法は症状によって異なるため、まずは専門医に相談してみるとよいでしょう。
五十肩(肩関節周囲炎)の主な原因
五十肩(肩関節周囲炎)の主な原因は次のとおりです。
- 骨・軟骨・靱帯・腱の老化
- 肩関節の周囲の炎症
- 運動不足
- 血流の低下
五十肩にははっきりとした原因がないとされていますが、上記のようなトラブルがきっかけで発症するケースもあります。
それぞれ詳しく解説するので、自身に当てはまる点がないかチェックしてみてください。
骨・軟骨・靱帯・腱の老化
五十肩の原因として、肩関節内にある骨・軟骨・靱帯・腱の老化が挙げられます。年齢を重ねるごとに上記のような組織も弾力性や柔軟性を失い、炎症を起こしやすくなります。
老化は避けられませんが、日頃から食生活や適度な運動など生活の質の向上を意識し、症状が現れた際の適切な対応が必要です。
肩関節の周囲の炎症
五十肩の直接的な原因は、肩関節周辺にある組織の炎症です。とくに、肩関節を包んでいる関節包や、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋で構成される腱板に炎症が生じた場合、五十肩になります。
症状が進行すると、損傷した組織が癒着し、肩の可動域が制限される場合もあります。
運動不足
五十肩は運動不足で引き起こされる場合もあります。運動不足になると筋力や柔軟性が低下し、炎症を起こしやすくなります。とくに、年齢を重ねるほど運動量が少なくなり、より五十肩を発症しやすくなるため注意が必要です。
また、運動不足はさまざまな病気と関連しています。健康維持のためにも、日頃から適度な運動やストレッチを積極的におこないましょう。
血流の低下
血液は酸素や栄養を組織に供給し、老廃物を排出する重要な役割を果たしています。しかし、血流が低下すると、組織への酸素や栄養の供給が不十分になり、組織機能も低下し炎症を起こしやすくなります。
血流の低下は運動不足やストレス、生活習慣の乱れなどで引き起こされるため注意しましょう。
五十肩(肩関節周囲炎)の診断方法
五十肩(肩関節周囲炎)の診断方法は次のとおりです。
- 問診
- 可動域の測定
- レントゲン検査
- 超音波エコー検査
- MRI検査
上記の検査方法は代表的な例であり、クリニックや症状によっても異なります。
それぞれの診断方法について詳しく解説するので、まだクリニックを受診していない方はぜひ参考にしてみてください。
問診
まずは、医師による問診を受けます。問診では、次のような症状の内容や、過去の病歴をヒアリングします。
- 痛みの特徴や頻度
- 痛みが発生した時期やきっかけ
- 肩の動かしにくさや日常生活にかかる影響の程度
上記の情報から、五十肩を含む疾患を絞り込みます。
可動域の測定
問診が終わったら、肩の可動域を測定します。五十肩は一定の角度まで腕を動かすと、痛みやそれ以上は動かせないなどの症状が特徴です。
そのため、どの程度まで可動域の制限があるか確認しつつ、筋肉の状態や腫れ、姿勢などもチェックして症状の進行具合を確認します。問診と視診、触診のあと、必要に応じて詳しい検査をおこない、最終的な診断や治療方針を決定します。
レントゲン検査
レントゲン検査は骨や周辺組織の異常をX線で確認する検査方法です。主に、肩関節の骨や関節の構造を評価するために使用されます。
五十肩の場合、骨に異常はみられないため、骨折や脱臼、石灰などが確認された場合は、痛みの原因が他の疾患であることがわかります。
超音波エコー検査
超音波エコー検査とは、超音波の反響を映像化して肩関節周辺の軟部組織を評価する検査方法です。主に、肩の関節包、腱、筋肉、靭帯などの軟部組織の異常や損傷の有無、程度を確認できます。
超音波エコー検査により肩峰下滑液包や腱板の炎症が発覚した場合、五十肩の診断の保管となります。
MRI検査
MRI検査は、強い磁石と電磁波で、身体内部の断層画像を生成する検査方法です。肩関節の検査では、靱帯・腱の損傷や断裂などの診断に役立ちます。
とくに五十肩の症状と類似している腱板断裂は、進行すると裂け目が広がる可能性があり、早期発見と治療が必要です。
【注意】五十肩(肩関節周囲炎)でやってはいけないこと
五十肩を発症した場合、次のような過ごし方には注意が必要です。
- 無理に肩を動かす
- マッサージをうける
- 痛む方を下にして寝る
- 放置する
上記のような行動を無意識のうちにすると、症状が悪化したり、治りにくくなったりする可能性があります。
それぞれのNG行動について詳しく解説するので、ぜひチェックしてみてください。
無理に肩を動かす
五十肩の治療においてリハビリテーションがおこなわれます。しかし、痛みがあるときに無理に肩を動かすのは注意が必要です。痛みがあるときは肩関節内に炎症が起きており、無理に動かすと症状が悪化する可能性があります。
そのため、痛みが軽減されるまではできる限り安静に過ごすことが大切です。ただし、ずっと動かさずにいると肩の可動域が狭くなるため、痛みが軽減してから少しずつストレッチを取り入れましょう。
マッサージをうける
マッサージも痛みがあるうちはできる限り控えましょう。五十肩を肩こりと勘違いしてマッサージをする方が多く、かえって症状を悪化させてしまうケースもあります。
痛みがある場合は自身で解決しようとせず、整形外科を受診して適切な治療を受けましょう。
痛む方を下にして寝る
痛みがある方を下にして寝ると、血管や神経が圧迫され、夜間痛をおこしやすくなります。また、炎症箇所を圧迫すると炎症が治りにくくなるリスクもあるため、できる限り仰向けで就寝できるように対策が必要です。
たとえば、枕の高さを調整したり、体の横にクッションをおいて寝返りを防いだりする対策がおすすめです。枕の買い替えが必要な場合は、タオルやブランケットで高さを調整するとよいでしょう。
放置する
五十肩は一般的に自然治癒する症状です。しかし、痛みや動かしにくい状態が長期化すると、日常生活が不自由になりストレスも溜まります。また、固まった肩関節を元の状態に戻すにはリハビリが必要です。
そのため、症状が現れたら早めにクリニックを受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
五十肩(肩関節周囲炎)の治療に関するよくある質問
五十肩の治療に関するよくある質問は次のとおりです。
- 五十肩はどのくらい症状が続く?
- 五十肩は自然治癒する?
- 五十肩の痛みを和らげるストレッチ方法とは?
- 五十肩は再発する?
とくに、いつまで症状が続くのかわからず不安に感じている方も多いでしょう。
それぞれの質問に詳しく回答するので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
五十肩はどのくらい症状が続く?
五十肩の症状が改善される期間には個人差がありますが、半年〜2年ほどかかるといわれています。
また、先述したように五十肩には炎症期、拘縮期、回復期の3つの病期があり、それぞれの症状がおさまる期間の目安は次のとおりです。
- 炎症期:〜3週以内
- 拘縮期:4週~3か月以内
- 回復期:4か月以上
あくまで目安なため、症状が悪化すれば長期化する可能性があります。できる限り早く改善したい場合は専門医に相談しましょう。
五十肩は自然治癒する?
一般的に、五十肩は自然治癒します。しかし、症状が長期化し治りにくくなるケースもあり、状況に応じて対応する必要があります。
とくに、症状がある方の肩に負担がかかる生活をしていると治りにくくなる傾向があるため注意が必要です。また、炎症や可動域の制限が強い場合は、放置すると悪化する可能性があります。
五十肩の痛みを和らげるストレッチ方法とは?
五十肩の痛みを和らげるためには、次のようなストレッチがおすすめです。
- 痛みがない方の手をテーブルや椅子の背におき、前屈みになる
- 痛みがある方の肩の力を抜き、手をだらんと下ろす
- そのまま下ろした手を前後左右に小さくゆすり、10〜20回程度おこなう
痛みがなければ円をかくように動かしたり、ペットボトルや軽いダンベルボールなどで負荷を上げたりするのもおすすめです。
- 姿勢を正して椅子に座り、両手を体の横にだらんと下げる
- そのまま肩をゆっくり上げ、耳につけるイメージで首をすくめる
- 肩をゆっくり下げ、同じ動作を5〜10回程度繰り返す
肩を上げ下げする際は、姿勢が崩れないように意識しておこないましょう。上記のストレッチは一例ですが、無理のない範囲で生活に取り入れてみてください。
ただし、痛みのある炎症期にストレッチをおこなうと炎症が強くなる可能性があります。そのため、痛みが軽減するまで待ち、肩の拘縮があらわれる拘縮期にストレッチをおこないましょう。
また、無理なストレッチはかえって症状を悪化させるため、不安な方はまず医師に相談してみてください。
五十肩は再発する?
五十肩が完治したあとに、反対側の肩が発症する場合はありますが、同じ肩が再発するケースはごく稀です。
ただし、肩が固まった状態を放置していると、痛みが再発する可能性はあります。
また、痛みが繰り返し現れる場合は、他の疾患が疑われるため、整形外科を受診して正しい診断を受けましょう。
肩の治療ならシン・整形外科
- 再生医療で痛みを根本解決
- 手術不要・日帰り治療OK!
- パーソナライズされた治療ケア
施術費用 | ■初診 3,300円 ■MRI検査 8,000円〜12,000円 ■注入治療 198,000円〜1,078,000円※1 ■リハビリ 29,800円〜49,800円 |
診療時間 | ■受付 9時〜18時 ■MRI診断予約 24時間受付 |
支払い方法 | 現金 クレジットカード 電子マネー バーコード決済 |
アクセス | 〒104-0061 東京都中央区銀座5丁目9-15 銀座清月堂ビル5F |
シン整形外科の肩の治療は、以下の理由からおすすめです。
- 専門的な肩の治療
- 最新の医療技術
- 個別の治療プラン
- 安心の手術
- パーソナライズされたケア
専門的な肩の治療
シン整形外科は肩の痛みや問題に特化した専門的な治療を提供しています。経験豊富な専門医が、患者様の症状を正確に評価し、最適な治療法を選択します。肩に関する専門知識を持つ医師陣が、あなたの健康と快適な生活のために全力を尽くします。
最新の医療技術
シン整形外科は常に最新の医療技術を導入し、最良の治療を提供しています。物理療法、関節内注射、手術など、幅広い治療オプションを取り入れることで、患者様の症状に合わせた効果的なアプローチを実現します。
個別の治療プラン
患者様一人ひとりの状態やニーズに合わせて、カスタマイズされた治療プランを提供します。一般的な治療だけでなく、患者様のライフスタイルや目標に合わせて、最適なアドバイスや指導を行います。
安心の手術
必要な場合、シン整形外科では最新の外科手術技術を駆使して、最小限の侵襲で手術を行います。安全性と効果を重視し、患者様の健康と安心を第一に考えた手術を提供します。
パーソナライズされたケア
シン整形外科は、患者様の信頼と満足を最優先に考えています。親切で丁寧なスタッフが、あなたの質問や不安に対応し、治療プロセスをサポートします。あなたの声に耳を傾け、共に健康な未来を築いていくパートナーとしております。
まとめ
五十肩の治療方法にはさまざまな種類があり、症状に応じて選択します。初期段階であれば保存的治療がおこなわれますが、炎症や拘縮が強い、症状が長期化している場合は、再生医療や手術療法などが検討されます。
その分、治療費も高額になるため、できる限り早めに専門医に相談することが大切です。また、自身でケアしようと無理なストレッチや運動をおこなうと、かえって症状を悪化させてしまう可能性もあります。
痛みや肩の動かしにくさがあり五十肩を疑われる方は、まずクリニックを受診し、適切な診断と治療を受けましょう。