母指CM関節症は関節部分の軟骨の摩擦や損傷が原因で起こる疾患です。母指CM関節症になると、ものを掴んだり握ったりする動作で痛みを感じ、日常生活が送りにくくなる可能性があります。
さらに症状が進行すれば、関節が亜脱臼し骨が出て親指が開きにくい状態に陥るでしょう。
母指CM関節症の治療の保存的療法では、専用の装具を使用して患部を固定します。治療を続けても症状が緩和しない場合や痛みが強いときには手術が行われます。
自身に母指CM関節症の可能性があると感じているのなら、記事を参考に適切な治療を受けましょう。
母指CM関節症とは?
母指CM関節症とは、親指の付け根にあるCM関節の軟骨がすり減り、痛みや変形が生じる状態のことをいいます。母指CM関節症が進行すると骨と骨が軟骨を介せずに直接接触するようになり、痛みがより強くなります。
親指は使用頻度が高い部位であり、予防が難しいです。母指CM関節症の可能性があるのなら、症状が進行する前に治療を開始してください。
母指CM関節症の主な原因
母指CM関節症の発症原因はいくつかありますが、ここでは代表的な原因を3つ紹介します。
加齢
母指CM関節症は加齢と関係のある病気です。具体的には加齢の影響で関節の軟骨組織が摩耗し、関節の炎症や変形が進行します。とくに母指の関節は使用頻度が高いため、他の関節に比べて母指CM関節症になるリスクは高いと言えるでしょう。
また、母指CM関節症は女性ホルモンの変動で誘引されます。ホルモンバランスが変化する更年期の女性は母指CM関節症の発症リスクが高まります。
親指への負担が蓄積
親指は、日常生活の中で最も使用頻度が高い指です。スマートフォンを操作する動作も親指を酷使します。そのため、気が付かないうちに年々負担が蓄積します。
長期的に親指を酷使することで関節の軟骨が摩耗してすり減り、関節炎や変形につながります。生活の中で、親指を過度に曲げたり強く手を握ったりする動作が多い自覚がある方は、親指への負担を意識してみましょう。
また、テニスや野球などの何かを強く握りしめるスポーツをしている方は、母指CM関節症を発症しやすいです。
母指CM関節症を予防するストレッチやトレーニングを意識的に取り入れることも、予防に効果的です。具体的なストレッチとトレーニングの方法は、後ほど紹介します。
脱臼や骨折
脱臼や骨折は、関節や骨に強い力が加わると起こります。脱臼や骨折をしても、適切に治療とリハビリが進められれば母指CM関節症になる可能性は低いです。
ただし、母指の基底関節に影響を及ぼす脱臼や骨折をしたときは、関節の周囲に損傷が残り機能障害につながる可能性があります。結果、母指CM関節症の発症リスクが高まります。
母指CM関節症の段階別症状
母指CM関節症は段階を踏んで症状が進行する疾患です。母指CM関節症の初期、中期の症状についてまとめました。
初期
母指CM関節症は患部のだるさと違和感から始まります。次第にものを掴む動作や、瓶の蓋を閉めるときに痛みを感じるようになります。
痛みを感じる部分は母指の基底関節周辺です。関節が強張ることから、可動域が制限される場合もあるでしょう。また、作業中ではなく、長時間患部を使用しない寝起きに強張りが強くなることが多いです。
母指CM関節症の進行速度や症状には個人差があり、早期の診断と適切な治療で進行が抑えられます。
中期
母指CM関節症が進行して中期になると、母指を使用していない状態でも痛みを強く感じる場合があります。関節が変形して母指の可動域がさらに制限され、日常生活に影響が出ることもあります。
痛みを放置していると、ものを掴む力が弱くなり瓶の蓋が開けられない、ものを掴み損ねてしまう、手にしていたものを落とすなど日常生活に問題が発生します。
中期まで進行したら、いち早くクリニックを受診して専門の医師に治療プランをしてもらう必要があります。悪化させないためにも、痛みを感じたらなるべく早くクリニックを受診してください。
母指CM関節症の手術方法
母指CM関節症が進行して痛みが強く、亜脱臼を伴う高度な関節の変形が発生している場合は、手術で症状を改善する必要があります。
ただし、母指CM関節症はどの手術方法でも一定期間の患部の固定とリハビリが欠かせません。ここでは、代表的な母指CM関節症の手術方法を3種類紹介します。。
関節形成術
関節形成術では関節の一部または全部を取り除き、自分自身の腱や人工関節を挿入して関節の安定性を取り戻します。手術後は1か月程度患部を固定して経過を観察します。関節形成術は比較的関節の変形が軽度な場合に活用できる手術方法です。
母指の関節の変形が激しいときには、別の手術法を選択する必要があります。
骨切り術
骨切り術では、母指の基底関節の骨を切断して再配置します。関節の負荷を変え、安定性を回復させます。骨切り術は母指CM関節症の進行が進み、関節が大きく変形してしまい、ほかの手術法が適さない場合の選択肢です。
関節形成術と同様に、手術後1か月程度は患部を固定してリハビリを開始します。
靭帯再建術
現段階で関節に変形がない場合には、靭帯再建術で症状を改善する手段もあります。軟骨は正常な状態で残るため、骨に開けた小さな穴をとおして腱を引き、ワイヤーで関節を一時的に固定します。
ワイヤーは1か月程度で除去可能で、除去後はリハビリが必要です。靭帯再建術は、若い年齢の患者に用いられることが多い手術方法です。
母指CM関節症の手術後の経過
母指CM関節症の手術後は、一定期間ギブスで患部を固定したあとにリハビリを開始する必要があります。
手術方法やクリニックでその後の流れが異なりますが、ここでは一般的な手術後の経過をまとめました。
ギプスで2週間固定
母指CM関節症の手術後は、患部を固定するためにギブスが用いられます。ギブスで強制的に患部の動きを制限して、関節の回復を促しながら手術の傷を癒します。
ギブスをしている間は手の使用自体を控えて、可能な限り安静に過ごしてください。無理をすると治療が長引く可能性があります。
約4週間後にリハビリ開始
ギブスを外してから2週間後にリハビリを開始します。リハビリの内容はクリニックごとに異なりますが、医師の指示どおりに定められた方法と回数のリハビリを続けましょう。
この段階では関節は完全に回復していません。日常生活のなかでも数か月間は強く握る、掴む動作を避けるようにしましょう。
約3か月で生活に支障がなくなる
親指を思うように動かせる状態に戻るまでは、術後3か月程度の期間が必要です。医師に経過を見てもらい、許可を得てから力を強く入れる動作を開始してみてください。
術後半年以上経過しても患部に違和感を感じるようであれば、再度診察を受けましょう。
母指CM関節症の手術以外の治療方法
進行した母指CM関節症の治療には、再生医療も選択肢の1つです。
再生医療は、人体に備わる再生能力により失われた組織の機能を回復させる治療法で、痛みの根本的な改善が期待できます。
整形外科の分野では、自身から採取した幹細胞や、血小板を多量に含む血漿(PRP)を損傷部位に注入する治療法が一般的です。
たとえば、再生医療のPRP-PRO治療※は、濃縮技術により組織の修復を促すサイトカインを多く含んだPRPを使用しており、強い痛みの改善も見込めます。
また、再生医療は日帰りで受けられるため、日常生活に影響しにくい点も魅力です。
とくに、体の負担を考え手術に踏み込めない方は再生医療も検討してみるとよいでしょう。
※参照元:東京ひざクリニック
母指CM関節症のセルフケア方法
母指CM関節症はクリニックで治療が必要な疾患ですが、セルフケアで発症を予防したり症状の進行を抑えたりする効果が期待できます。
ここでは、母指CM関節症のセルフケア方法についてまとめました。親指の使用頻度が高い方は、ぜひ参考にしてみてください。セルフケアを続けることで、母指CM関節症になるリスクを減らせます。
母指内転筋のストレッチ
母指内転筋とは母指の第一関節部分にある筋肉です。母指内転筋のストレッチでは同時に母子球筋も伸ばしていきます。
- 肘を曲げた状態で逆の手で親指全体を覆うように親指を掴む
- 親指をゆっくり外転させる
- ストレッチしている手の方の肘を伸ばし、母子球筋も伸ばす
ストレッチを行なう際は、手の力を十分抜いてください。動作はゆっくりしたスピードで伸ばしている筋肉部分を意識しましょう。
筋肉トレーニング
手には多くの筋肉があり、なかでも関節を安定させる働きを持つ筋肉を母指対立筋と第一背側間筋と呼びます。2つの筋肉を鍛えるためには、次のエクササイズが有効です。
第一背側骨間筋のエクササイズ
- テーブルに小指を下にして指をまっすぐに伸ばし、手を立てて置く
- 人差し指を天井に向けて持ち上げる
- 上記の動作を両手で繰り返す
このエクササイズのみでは負荷が軽いと感じる方は、指先同士に輪ゴムをかけて行なってみてください。関節を痛めないためにも、無理のない範囲でエクササイズを実施しましょう。
母指対立筋のエクササイズ
- 手のひらを自身の方向に向けて親指の先と人差し指の先を合わせる次に中指の先と親指の先を合わせる
- 順番に指を交換する
1から3の動きを1セットとして、10セットを朝晩取り組んでください。
母指対立筋のエクササイズは全ての指の関節を動かす必要があります。痛みを感じる方はエクササイズそのものを控えましょう。自身の指の状態を確認しながらエクササイズを進めてください。
重症化する前にクリニックを受診する
母指CM関節症が進行すると、手術を含めて治療に長い時間が必要になります。痛みが現れたときは我慢せず、症状が悪化する前にクリニックを受診しましょう。
母指CM関節症の手術についてよくある質問
母指CM関節症の手術についてよくある質問をまとめました。そのほかの質問がある方は、直接医師に問い合わせてください。痛みが強く、関節の変形も感じられたときは、すぐにクリニックを受診しましょう。
母指CM関節症の手術時間は?
母指CM関節症の手術時間は手術内容で異なりますが、平均して2時間前後で手術が完了します。入院が必要な場合と不要な場合があるため、医師に確認をしましょう。
ただし母指CM関節症が重症化しているときには、選択可能な手術が絞られる可能性があります。
母指CM関節症は手術ではなく薬で治療できる?
母指CM関節症は初期であれば消炎鎮痛剤が含まれた貼り薬、腫れがひどい場合にはステロイド製剤が注射されます。また、痛みが強い方には痛み止めの内服薬が処方されるでしょう。
一般的に母指CM関節症の初期、または中期の方は薬を活用した治療が進められます。
母指CM関節症の手術で完治する?
母指CM関節症は手術で完治する疾患ですが、症状の進行を抑えられれば患部の固定や薬で治療できます。手術後の患部の固定やリハビリを考えれば、重症化する前に治療をはじめるとよいでしょう。
また、母指CM関節症は適切な治療を受けても再発する可能性がある疾患です。患部の使用頻度や負担を減らして再発リスクを抑えてください。
母指CM関節症の手術後の痛みは強い?
母指CM関節症の手術では皮膚を切る、骨を削るなどの処置が行われることから痛み止めを服用しても術後に痛みや不快感を感じる場合があります。
痛みの程度や回復までの期間には個人差がありますが、痛み止めを使用しながら指示されたリハビリを続ければ、少しずつ症状が改善するでしょう。術後の痛みが強いと感じるときには、手術をしたクリニックに相談してください。
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診療時間 | ■受付 9時〜18時 ■MRI診断予約 24時間受付 |
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シン整形外科の指の治療は、以下の理由でおすすめです。
・専門的な知識と経験
・一連の症例への対応
・最新の医療技術の利用
・患者中心のアプローチ
・継続的なケアとフォローアップ
専門的な知識と経験
シン整形外科が指の治療におすすめな理由として、その専門的な知識と経験が挙げられます。整形外科は骨や関節の疾患に特化した分野であり、シン整形外科は指の異常や障害に対する専門的なアプローチをしています。
一連の症例への対応
シン整形外科が指の治療におすすめされる理由として、様々な指の症状や疾患に対応できることが挙げられます。関節炎、捻挫、骨折など、指にはさまざまな問題があり、その一連の症例に対して適切な治療を提供しています。
最新の医療技術の利用
シン整形外科は最新の画像診断技術や手術技術を積極的に取り入れており、より精確な診断と効果的な治療を提供しています。
患者中心のアプローチ
シン整形外科は患者のニーズや状態に合わせた個別の治療計画を提供しています。指の症状は個人差が大きいため、患者中心のアプローチが効果的な治療が求められます。
継続的なケアとフォローアップ
指の治療は手術後のリハビリテーションやフォローアップが重要です。シン整形外科は継続的なケアとフォローアップを提供しており、患者の回復をサポートしています。
まとめ
母指CM関節症は患部の使いすぎや加齢などの原因で起こる疾患です。進行すると痛みが強くなり関節の可動域が少なくなるなど日常生活に支障が出てしまいます。
重症化した場合は手術が必要になり、何か月も患部を固定してリハビリにも取り掛からなければいけません。進行を抑えるためには患部の使用頻度を少なくし、治療のためにクリニックを受診するとよいでしょう。
また、普段から親指の使用頻度が高い方はストレッチや文章中で紹介したエクササイズを取り入れて、発症、症状の進行を抑えることも大切です。