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腱板損傷の治療法は?検査から治療までの流れを詳しく解説

横になるたびに痛みを伴う腱板損傷を治療したいと考えている方も多いでしょう。腱板損傷の治療には、主に内服薬やリハビリで症状を緩和させる保存療法と、メスを使用して治療をおこなう手術療法の2種類があります。

どのような治療法が自身の症状に適しているかは、個人で判断しにくいため、医師と相談して決めるとよいでしょう。

本記事では腱板損傷の治療方法や、検査から治療までの流れをまとめました。どのような治療法があるのか事前にリサーチしたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

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目次

腱板損傷(腱板断裂)になる主な原因

腱板損傷(腱板断裂)は、肩の関節周囲の腱板に生じる障害であり、さまざまな原因により引き起こされます。

  • 転倒や落下で筋肉を損傷
  • 重たい物を持ち負荷がかかる
  • 加齢による腱板の擦り切れ

ここでは腱板損傷になる主な原因を詳しく解説します。自身の症状が腱板損傷かわからない方は、主な原因と照らし合わせてみてください。

転倒や落下で筋肉を損傷

転倒や落下による筋肉の損傷は、腱板損傷になる原因の一つです。たとえば、スポーツや日常生活での転倒や落下により、直接的な衝撃が加わることで肩に大きな負荷がかかることがあります。

とくに体を支えるために手をついたときや、手すりを強く引っ張るなどの行為は、腱板損傷になる可能性が高いといえるでしょう。

重たい物を持ち負荷がかかる

重たい物を持つ際にも肩の筋肉に負荷がかかり、腱板損傷になるリスクがあります。たとえば、仕事で頻繁に重いものを持つことがある方は、肩に力を入れることが多いため、そうでない方に比べて腱板損傷になりやすいでしょう。

また、同じ理由で肩を酷使するスポーツを好む方も、使いすぎにより腱板損傷になりやすい傾向があります。腱板損傷は一度症状が出ると自然治癒は難しいことから、適度な休息や筋肉のケアなどをおこなうことが大切です。

加齢による腱板の擦り切れ

年齢を重ねることで腱板が劣化すると強度が低下するため、腱板損傷になりやすくなります。とくに腱板損傷は60歳以上に多く、ほかの原因と重なることでよりリスクが高まることから、より注意が必要です。

四十肩や五十肩と勘違いする方もいますが、腱板損傷は悪化すると横になるのみでも強い痛みを伴うケースもあります。自身で判断がつかない場合は、医療機関で医師の診断を受けるようにしましょう。

腱板損傷の症状と痛みを感じる場面

腱板損傷になる原因は、加齢や怪我、筋肉の使いすぎなどです。症状は軽度から重度までありますが、人によっては激しい痛みを伴う場合もあります。

次に腱板損傷により痛みを感じやすい場面や症状をまとめました。

  • 就寝時
  • 腕を上に挙げる
  • 髪を洗うとき
  • 腕を前に伸ばしたとき

自身の症状が腱板損傷と一致するかチェックしてみてください。

就寝時

腱板損傷になると、就寝時に痛みを感じる場合があります。就寝時の痛みは、横になることで肩関節内部の圧力が高くなることが原因です。とくに、損傷している肩を下にする姿勢は圧迫されやすいため、より痛みが強くなる傾向にあります。

就寝時の痛みは夜間痛とも呼ばれており、痛みがひどい場合は不眠症になるリスクもあります。そのため、就寝時は抱き枕を活用したり、肘の下にタオルを丸めて差し込んだりして、直接肩に負担がかからない工夫が必要です。

多くのクリニックでは、腱板損傷の方向けに寝方指導を実施しています。肩への負担を和らげて安眠できる方法を専門家が教えてくれるため、就寝時の肩の痛みで悩んでいる方は相談してみましょう。

腕を上に挙げる

腱板損傷になると、腕を上に挙げた際に痛みを感じるようになります。

ただし、腱板損傷は四十肩や五十肩とは異なり、痛みはあるものの腕は挙げられる疾患です。洗濯物を干したり、つり革を掴んだりなど、日常で腕を上にあげる動作が多いことから、腱板損傷になると日常生活に影響を及ぼす可能性があります。

髪を洗うとき

腱板損傷になると、髪を洗う際にも痛みを感じます。髪を洗う際の腕を上に挙げる動作が、損傷により動きにくくなった不安定な腱板を刺激することが原因です。

痛みの程度は腱板損傷の重症度により異なりますが、症状がひどい場合は髪を洗うたびに強いストレスを感じることになるでしょう。

少しでも痛みを和らげたいのなら、突然肩に負荷をかけないように、ゆっくりとした動作で髪を洗うことが大切です。

また、痛みが激しい場合は、我慢せずにクリニックの受診も検討しましょう。鎮痛剤やステロイド注射などの薬物療法なら、ストレスになる痛みを緩和できます。

腕を前に伸ばしたとき

腱板損傷になると、腕を前に伸ばしたときにも痛みを感じます。腱板が損傷していると、腕を前に伸ばす際に肩が腕を支えられず、安定しないことが原因です。

たとえば、車に乗った状態で駐車券に腕を伸ばすときに痛みを感じます。腱板損傷の症状には波があり、常に激しい痛みを感じるわけではありません。

しかし、日常生活のあらゆるシーンで痛みを感じることから、人によっては大きなストレスになる可能性があります。

腱板損傷の検査方法

腱板損傷を診断するためには、さまざまな検査方法が用いられます。

  • ドロップアームテスト
  • レントゲン検査
  • l超音波検査
  • MRI検査

ここでは、腱板損傷で一般的におこなわれる検査方法を4つまとめました。

ドロップアームテスト

ドロップアームテストとは、医師に支えてもらいながら肩を90度に曲げ、腕を外側に回旋させていき、支えを外した状態でゆっくりと腕を下ろすテストです。

支えを外した際に自力で腕を支えられず、急に腕が落ちるようなら腱板損傷が疑われます。腱板損傷では、いくつかの診断テストをおこないますが、ドロップアームテストは用いられることの多い方法です。

レントゲン検査

肩関節の痛みで医療機関を受診した場合、基本的にレントゲン検査を受けることになります。レントゲンは、骨の異常や変形を画像で確認できる検査です。

しかし、腱板はレントゲンに映らないため、損傷の具合を直接確かめることはできません。レントゲンでできることは、関節の状態をチェックして腱板損傷であるか推察する程度です。

超音波検査

超音波検査とはエコー検査とも呼ばれ、超音波を用いて体内の病変を調べる検査です。 体内に超音波を流し、臓器や組織からはね返ってくる反射波を映像化します。

腱板損傷では、損傷の程度や炎症の有無、石灰の沈着など腱や筋肉の状態を確認します。超音波の出る器械(プローブ)をあて、実際に関節を動かしながら診察できるため、初期の腱板損傷の診断にも有効です。

MRI検査

MRI検査とは、強力な磁石と電磁波で体内の断面図を見られる検査です。肩の状態をあらゆる方向から観察できます。

筋肉、腱、靭帯などの骨以外の軟部組織の状態も確認できるため、腱板損傷の診断に用いられることの多い検査です。そのため、薬物療法と手術療法どちらが適切な治療法かを判断するうえでも役立ちます。

腱板損傷の治療方法

腱板損傷の治療法は、おもに保存療法と手術療法の2つです。

保存療法と手術療法にはそれぞれ種類があるため、症状や患者の希望に合わせて治療法を判断します。

保存療法

  • リハビリテーション
  • 寝方指導
  • 薬物療法
  • 手術療法
  • 関節鏡視下手術
  • 人工肩関節置換術

ここでは、保存療法と手術療法それぞれの種類について詳しく解説します。

保存療法

保存療法とは薬やリハビリテーションなどにより、腱板損傷の症状を緩和させる治療法です。腱板損傷自体の治癒はできないものの、痛みを和らげて重症化させないための治療です。

日常生活に悪影響を及ぼさない程度に症状を改善できるため、重度ではない方に推奨されています。また、保存療法なら入院せずに済むことから、仕事を休まずに治療できる点も魅力です。

リハビリテーション

保存療法の一つであるリハビリテーションは、ストレッチや体操、マッサージなどで筋肉をほぐし、血流を改善させる治療法です。

肩関節を正常に機能させるためには肩甲骨の動きも大きく関わることから、リハビリテーションでは腕のみでなく、肩甲骨を意識した動作もおこないます。

筋力のトレーニングも効果的ですが、肩や筋肉に過度な負荷をかけると症状の悪化につながるため、注意しておこないましょう。

道具を使う場合も、500mlのペットボトルやゴムチューブなど、軽い負荷で済む程度のものを選ぶことが大切です。適切で効果的なリハビリテーションをしたいのなら、専門家の指導を受けることをおすすめします。

一人でできる簡単なストレッチや体操などの指導を受ければ、自宅でもリハビリが可能です。

寝方指導

腱板損傷は横になると痛みが強くなる場合があります。横になることで肩が圧迫されることが原因です。そのため、腱板損傷の方は寝る姿勢にも気を遣うことが大切です。具体的には次の点に注意しましょう。

  • 上半身を少し高くして寝る
  • 寝るときに痛い方の腕の下にタオルを敷く
  • 腱板損傷の逆側を下にして横向きに寝る

腱板損傷の逆側を下にして横向きに寝る際には、抱き枕を使うと寝やすくなります。また肘の下にタオルを敷いたり、腹部に小さめのクッションを置いたりすると、肩に負荷がかかりにくくなるためおすすめです。

十分な睡眠は健康な体を維持するほか、自律神経の改善につながります。筋肉の緊張も緩和でき、腱板損傷による痛みを軽減する効果も期待できます。

一度損傷した腱板が自然治癒するケースはないことから、余計なストレスを溜めずに重症化を防ぐ寝方を心がけるようにしましょう。

薬物療法

腱板損傷で主流の治療法は薬物療法です。基本的に薬物療法は、リハビリテーションと組みあわせて治療をおこないます。痛み止めや炎症を抑える消炎鎮痛剤、外用剤として湿布や塗り薬など、症状に合わせて選択が可能です。

とくに痛みが強い場合は、ステロイド注射による治療も効果的です。ステロイド注射なら即効性があるため、腱板損傷で炎症している状態にも使用できます。

ただし、ステロイドは頻繁に投与すると腱がもろくなったり、副作用が出たりする危険性があります。そのため、痛みがある程度引いたら、肩関節が拘縮しないようリハビリテーションをおこなうことがおすすめです。

それでも強い痛みを繰り返すようなら、手術療法も検討しましょう。

手術療法

腱板損傷は自然治癒しないため、完治を望むのなら手術療法を検討しましょう。腱板損傷の手術には、内視鏡を使い腱板を元の骨の位置に縫い付ける関節鏡視下手術、損傷部分を人工材料で置き換えて機能を回復させる人工肩関節置換術などがあります。

どちらの術式にするかは、症状の度合いにより医師が判断します。手術療法は体を傷つけるため、副作用や失敗のリスクがあるものの、腱板損傷の痛みから解放されたい方は検討してみましょう。

関節鏡視下手術

関節鏡視下術とは、1〜2センチほどの小さな穴を開け、内視鏡と呼ばれるカメラや手術器具を挿入し、腱板を元の位置に縫い付ける手術です。

傷口を大きく開かないため体への負担が少なく、感染率も低いなどのメリットがあります。傷跡も小さいことから、女性でも負担なくできる点が魅力です。

ただし、手術後は腱板の再断裂のリスクを減らすために、しばらくは三角巾や装具を付けて生活する必要があります。

腱板の接合部分が安定するまで3〜6週間は安静にする必要があることから、仕事や日常生活で不自由を感じる可能性があるでしょう。また、腱板の接合部分が安定したら、リハビリに通う必要があります。

術後の経過やリハビリの期間には個人差があるものの、元通りの生活が送れるようになるまで約2〜3か月はかかることを認識しておきましょう。

人工肩関節置換術

人工肩関節置換術は、2014年に日本に導入された比較的新しい手術です。損傷部分を人工材料に置き換えることで機能を回復させます。また人工肩関節置換術は、完全に断裂している腱板損傷にも使用できる点が特徴です。

ただし、肩前面を10〜15センチ切開しておこなうため、感染症などの副作用や脱臼、人工関節の緩みなどのリスクがあります。

また、関節鏡視下手術と同様に、1〜3週間は装具をつけて生活する必要があります。退院後もリハビリに通う必要があるため、元通りの日常生活に戻れるまで2〜3か月はかかるでしょう。

腱板損傷の検査から治療開始までの流れ

肩の痛みを訴えてクリニックに来院した場合、いくつかの可能性を考慮しながら複数の検査をおこないます。

  • 診察テスト
  • レントゲン撮影
  • MRI検査
  • 治療方法を決定

ここでは、腱板損傷の検査から治療開始までの流れを紹介します。腱板損傷の治療を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

1:診察テスト

肩の痛みで検査する場合、最初におこなうのは問診と診断テストです。簡単なテストで筋力や痛みなどを把握し、次におこなう必要な検査を決めていきます。

腱板損傷では、診察テストでドロップアームサインをおこなう場合が大半です。ドロップアームテストとは、医師に腕を支えてもらいながら肩を90度に曲げ、腕を外側に回旋させていき、支えを外した状態でゆっくりと腕を下ろすテストです。

支えを外した際に自力で腕を支えられず、急に腕が落ちるようなら腱板損傷が疑われます。ほかにもいくつかの診察テストを実施したあと、レントゲンやMRIなどの検査をおこない診断を確定させる流れです。

2:レントゲン撮影

レントゲン撮影では筋肉や腱の状態を確認できないため、直接的な腱板損傷の診断はできません。

しかし、腱板が断裂すると関節の隙間が狭くなったり、肩関節の外側先端部分にある肩峰がトゲのように変形したりする場合があります。そのため、レントゲン撮影で肩の骨の変形をチェックすることで、腱板の損傷具合を推測可能です。

3:MRI検査

MRI検査では、電磁波を使用して腱板の損傷部分を画像で確認します。MRI検査は腱板損傷の診断に用いられることの多い検査方法で、詳細な断層画が見れるため細かな症状までチェック可能です。

必要に応じて、超音波を使用したエコー検査をおこなうクリニックもあります。エコー検査は筋肉や腱の状況を直接確認できることから、炎症が起きている部分の特定も可能です。

4:治療方法を決定

必要な検査が終わり腱板損傷と診断されると、次は治療方法を決めます。治療方法は本人の希望や症状などを考慮しながら、医師との相談で決定します。

重度ではない腱板損傷の場合は、痛みを緩和する保存療法を提案される場合が一般的です。保存療法を実施する場合、薬物療法とリハビリを組み合わせた治療をおこないます。

一方で重症の場合、保存療法のみでは日常生活に支障が起こる可能性もあります。そのため、手術や再生医療などの腱板損傷を完治できる治療が必要になるでしょう。

手術療法の場合は術後に装具をつける必要があるため、仕事や家庭の事情を考慮しながら手術日を決めることになります。

腱板損傷の治療についてよくある質問

ここまで読んで腱板損傷の治療を真剣に検討している方もいるでしょう。

しかし、はじめて治療をおこなうのなら、疑問や不安もあるかもしれません。そこで、ここでは腱板損傷の治療でよくある質問をまとめました。わからないことは解消し、安心して治療を開始できるようにしましょう。

腱板損傷の治療でストレッチは有効?

腱板損傷の治療でストレッチは有効です。

しかし、ストレッチは痛みの緩和に役立つ程度であり、腱板損傷自体の治癒効果は期待できません。

また間違ったストレッチをすると、症状が改善するどころか悪化する恐れもあります。そのため、腱板損傷の痛みの緩和にストレッチを取り入れたい方は、専門家に相談するようにしましょう。

YouTubeのなかには、医師が腱板損傷のストレッチ方法を配信している動画もあります。忙しくてクリニックにいけない方は、YouTubeで「腱板損傷 ストレッチ」と検索して探してみましょう。

腱板損傷はテーピングで治療できる?

腱板損傷にテーピングは有効です。根本的な治療ができるわけではないものの、不安定な肩の筋肉を外側からサポートできるため、痛みの緩和に役立ちます。

テーピング用の伸び縮みするテープは薬局で販売されていますが、自身で巻くことができない場合は、肩用のサポーターもおすすめです。肩用のサポーターなら装着するのみで腱板を支えられることから、毎日使用するのに向いています。

腱板損傷は手術をしなければ治らない?

腱板損傷は基本的に自然治癒しないため、完治させたいのなら手術が必要です。

しかし、重度ではない痛みの場合は、保存療法のみでも高い確率で緩和できます。そのため、手術はハードルが高いと感じる方は、まず保存療法を検討してみましょう。

腱板損傷で手術を受けたあとのリハビリ方法は?

腱板損傷で手術を受けたあとは、肩関節を安定させる腱板のトレーニングや、肩周りの筋肉を柔らかくする肩甲骨のトレーニングなどを中心にリハビリをおこないます。

リハビリ期間は、約3か月が一般的です。肩の腱板は繊細なことから、回復には時間がかかります。そのため根気強く通院し、少しずつリハビリで元の状態を目指しましょう。

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まとめ

腱板損傷は自然治癒が望めません。そのため、症状の程度により保存療法や手術療法などを選択する必要があります。

保存療法ならリハビリや薬、寝方指導など、いつも通りの日常生活を送りながら治療ができるため「仕事を休めない」「育児で手が離せない」などの事情がある方にもおすすめです。

しかし、痛みが激しく夜も眠れないほど重度な場合は、手術療法も検討する必要があります。元通りの日常生活に戻れるまでは多少時間がかかるものの、腱板損傷を完治させて痛みから解放されたいのなら検討してみましょう。

※本記事は可能な限り正確な情報を記載しておりますが、内容の正確性や安全性を保証するものではありません。
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